Lily’sの災難
- RICOH RICOH
- 2024年11月17日
- 読了時間: 11分
花の知らない間に、異端者を排除する
いつの間にか、そんな動きが加速するプエブロドラド
花が何も動かず、関知しない出来事
それこそが、真実の答えです
行き過ぎたパトロールごっこは、いい加減になさいませ🌷
魔界―
王都ビターバレー内にある特殊コミュニティ、プエブロドラドでは
最近、奇妙な現象が起きていた
村全体を囲う壁に、無数の落書きが出現するようになったのだ
それも、構成員をネタにした、卑猥な絵柄の数々…
自分のスケッチブックの中で楽しむなら何も文句はないが
公に飾り立てるような類のものではない
しかも…見ていてそれほど楽しい気分にもならず
不快感を抱かせるその落書きには、
住民にとってこの上なく汚らわしく嫌なものだった
発見する度に落書きを消去し、犯人捜しに奔走する ダイヤ も大変だ
魔力でヒーリングすれば、あっという間に除去できるのだが
ダイヤ にその力はない。
だからと言って、その為にリリエルを呼び出すのも…
清廉潔白なイメージのあるリリエルに、
これらの絵を見せるのも躊躇われるほどなのだ
その内、住民たちの間でも、犯人に気づき始めた
プエブロドラドの平和を第一に考える
Lily’sの面々が率先して動き出すようになった
それとなく注意を促せば、表面上は取り繕い、頭を下げるのだが
彼女たちが立ち去った後、すぐさま表情を入れ替え
落書きを消す事もなく、むしろ助長させていく
挙句の果てに、根も葉もない誹謗中傷を書いたビラを
匿名で貼り付けるようになったのだ
Lily’sの方々のせいで、絵が描けなくなった、創作意欲を阻害された
名誉棄損で訴えるなどなど……
そのうち、リリエルを慕うシュウやkojiにも、直接、愚痴を零すようになった
「Lily’sの皆さんに、意地悪されてるんです…怖くて…」
話を聞いて、腑に落ちないながらも、正義感の塊になったkoji
Lily’s恒例のお茶会で、レストランに集まった時
それとなくメンバーに尋ねてみた
「なんか…俺も噂を聞いたんだけど…何かあったの?」
「!!…」
kojiからの思わぬ問い掛けに、唖然として固まる Lily’s
「詳しい事はよく知らないけど…もしそうなら
あまり、イジメないであげてよ。同じ信者同士じゃない…」
…!!…
kojiの言葉に、切り返す事も出来ず
無言で立ち上がり、俯きながら店を出て行くバナトラ
「?…あれ?バナトラ様…?」
「どうしたんだろ…バナトラちゃん…」
一様に不思議がるLily’sたち
「kojiさん?バナトラ さんと何かあったの?」
「えっ…いや… 」
バナトラ の反応に、最も驚いていたkojiは
Lily’sの問い掛けにも首を傾げるだけだ
怪しいと睨んだ ダイヤ は、逃さず追求する
「kojiさん!! 隠し事はしないで!!…何があったの??」
「///////💦」
すっかり困り果て、モジモジしながら
先程のやり取りを全て告白したkojiに
聞いていたLily’sは一様に憤慨する
「……なんやそれ!!言ってる事がおかしい!!」
プルーニャが声を荒らげて怒りでワナワナ震えている
花蓮光は慌てながら宥めている。
話を聴き終わったダイヤ は黙って考えていた。
一部の信者によって暴走し治安すら悪くなるばかり…
注意しても、正論を伝えても
彼女らにはそれが意地悪としか捉えられないのだろう…
「…話は分かりました…今後どうするかは
こちらで判断させてもらいます…」
ダイヤ はお茶を一口飲み立ち上がって魔法陣で姿を消した。
残されたメンバーは再び憤慨しながらも意見交換をし始めた。
少しの諍いでギクシャクしているLily’s。
仲直りの意味も込めて、みんなで旅に行く事にした
ここは有名な温泉地…
建物の真ん中に堂々と流れる湯畑
硫黄の匂いが多少気にはなるが、滅多に来れない場所なので
Lily’sもウキウキに心を踊らせて観光地を楽しむ
お土産屋には色んな食べ物が並んでいる。
牛肉の肉まんやら温泉玉子…
岩魚まで食べられる。
リリエルは大きめな温泉饅頭を買い
ダイヤ は肉まんを頬張りながらモグモグ食べ
のんびり足湯に浸かり、ホクホクしている
「やっぱり温泉は良いよね〜(*^^*)こうして
リリエル様と一緒に足湯に浸かりながら
美味しいの食べてのんびり出来るのも乙ですなぁ 」
嬉しそうにリリエルに話すダイヤ。
リリエルも微笑んでいる
辺りを見渡すと山も見える。豊かな自然にホッとする
リリア と ムーランは、湯もみ体験を楽しんでいる
プルーニャと花蓮光は、岩魚に興味深々のハルミちゃんを見て
楽しそうに笑っている
いつの間にかギクシャクしていた雰囲気が消え
元のLily’sに戻っていった
リリエルはイザマーレが来るので特別の VIP ルームにしろと
Lily’sたちにヤンヤ言われている
それを横目に 、ダイヤ はニヤニヤしながらも 勝手に
ちょっと小洒落た部屋を選んで部屋の鍵を貰い、ご機嫌になっている
「リリエル様は VIP。わたしゃ洋室のお部屋で良いよ〜
陛下来るかも分からないし…寝られればいいわよん」
他のLily’sはペアになって部屋を決めた
「ではお先に〜♪リリエル様、皆さま後程❗」
ダイヤ は部屋の鍵をクルクル回して部屋に向かった
「…じゃ、一旦荷物を置いて、早速温泉に入ろうかな(*´艸`*)」
みんなに割り当てられた部屋へ向かったリリエル。
荷物を整理していたら、
部屋の隅でカサカサっと得体の知れない音が聞こえる
「…ひ、ひええっ…ま、ましゃか………💦」
何を隠そう、百合の化身であるリリエルは、虫が大の苦手。
特に、G と名がつく虫が出た途端、挙動不審の権化になるのだ。
実物を発見したわけでもないのに、
想定される音だけで震え上がり、柱にしがみついて辺りを見回す
イザマーレをはじめ、構成員たちはそれぞれに仕事があり
この後、夕食で合流する事になっている
いくら苦手だからと言って、それだけの為に呼び出すのは…
自分ではどうする事もできないくせに、躊躇い
ただひたすらパニックに陥る
その存在が出していると思われる音は、
先程からどんどん大きくなるばかりだ
「ひっ…いやああ(´;ω;`)●▽☆〇×………!!!!!!!」
個部屋から響き渡るリリエルの叫び声に
慌てて駆けつけたLily’sは、部屋の中の惨状に目を丸くする
慌てふためいて、すっかりパニックに陥ったリリエルは
魔力が暴走してしまい、叫び声と共に
大量の「G ホイホイ」を放出していた
「………オオォォォ(゚ロ゚*)(゚ロ゚*)」
状況を理解したLily’sから、驚嘆の声があがる
「もう~リリエル様!!どうしてこんな時にダイヤを呼ばないの!!
こんなに出しちゃって、どうするんじゃ💢」
思わず怒鳴りつけるダイヤ
「(´;ω;`)ウゥゥ………イヤ…虫さんはキライ………イヤ………」
柱にギュッとしがみついたまま、ブツブツと呟き泣き続けるリリエル。
会話も儘ならない。
「リリエル、待たせたな…どうした?」
ちょうどその時、姿を現したイザマーレ
リリエルを抱き寄せ、髪を撫でながら、部屋の有様を見て全てを察する
「…久しぶりに暴走したか。また随分と量産したもんだ(笑)」
続けて現れたウエスターレンも、笑いながら
部屋を占拠していた G ホイホイを次々に小型化させ、
魔袋に仕舞い込んでいく。
「… かっかぁぁぁ。゚゚(´□`。)°゚。ワーン!!…怖かったぁぁ…///////」
「はいはい。もう大丈夫だ。心配するな…」
リリエルはイザマーレに抱きついて泣き崩れ、背中をぽんぽんされている
2 魔が現れた事で、ホッと胸をなでおろすLily’sたち…
やがて、公務を終えた構成員たちも合流し楽しい夕食タイムになった
夕食は、シェフご自慢の料理がふんだんに並べられたバイキング形式だ
「これ、すっごく美味しい」
「え、どれ?」
「この小籠包」
感嘆の声をあげる セリーヌ に
すかさず振り返り、盛り上がるバナトラ
「それ、どこにあったの」
「中華コーナー」
「ドリンクバーってアルコールも含まれてる?」
同時に聞いてきたメーラ と一緒に立ち上がり取りに行く
「リリエル様…ほら、コーンの粒をプチプチしてないで、お食事しましょ」
最初は反省モードで大人しくしていたリリエルだが
イザマーレの顔を見て安心したのか、
いつものように笑顔で、ダイヤ と一緒に料理を取りに行く
「花蓮光ちゃん…そのトレーの一角は空いてる?」
「ん?空いてますよ。プルーニャさん…どんだけトレーに乗せてるの?」
「…ちょっとだけ、そっちに乗せて貰っても良い?」
「うん。大丈夫よ」
「ありがとう♪♪ん?リリエル様~、そっちは外!テーブルは右です!」
「ムーラン様、リリエル様をテーブルにお連れして」
ローストビーフの列に並んで叫ぶリリア
リリエルはお料理に目をキラキラ✨させながら、
純粋に迷子になっている
「お寿司を取りにいきます💕」
と声高らかに宣言し、パスタコーナーへ……
部屋は 1 つなので、
イザマーレも目を細めてリリエルを見守っている。
「言ったものと違う料理を取って帰ってくるぞ(笑)」
ウエスターレンと共にニヤニヤしてる
「生ハムとチーズのカナッペ、取ってきてくれないか?」
しまいには、リリエルにわざと頼んで様子を見守るイザマーレ
「お任せ下さい💕」
そう言いながら、キチンと頼まれた料理をお皿に取り分け
戻ってくるリリエル。
だが隣にあったケーキも乗せている
「頼んでないものが乗ってるが、これは自分への褒美か?」
呆れながら、皿を受け取るイザマーレ
「もう!///違いますぅ!閣下のデザートですよ💕」
プンスカしながらも、嬉しそうにニコニコ微笑むリリエル
「そうか。だが、吾輩は甘いのは要らん。お前にやる。ほれ、あーん💕」
………
ようやくいつものモードになり
イザマーレの横で大人しくなったリリエルに
ハラハラしていたプルーニャたちはホッとしながら
美味しい食事に舌鼓を打つ
ふと気付くとシェフの横にがシュウとkoji並び立ち
オリジナル料理を作ってくれている
彼らの元にダイヤが歩み寄り、興味津々に眺めている
広間の様子をこっそり撮影しながら、ほくそ笑むベルデ
各々のテーブルでは…
大盛りで食べ比べしてるラァードルとスプネリア
バサラはハーレム状態のテーブルで、
麗しく大口で優雅にお食事している
セルダのテーブルは、
花蓮光がハルミちゃんのお相手をしてくれてる間に
プルーニャがせっせと料理を運んでいる
ウエスターレンはアルコールドリンクバーとおつまみ狙いだが
バサラやセルダが次々に運んでくるため、
気がつけば泥酔し、まさかの逆半ズボン状態に……
逆半ズボン……それでも流石はウエスターレン
長い脚が眩しい✨
あられも無い姿で、すっかりハイになり
笑い転げ、挙句の果てにイザマーレに抱きつくウエスターレン
すっかり出来上がり、
2 魔の世界になったイザマーレとウエスターレン
リリエルをリリに変身させ、自分たちの部屋へ連れて行き、扉を消した
「ふう…お腹いっぱいになったね。」
「そうだね。吾輩たちも部屋に戻って、温泉入りに行こうか♪」
ラァードルとスプネリアも仲良く個部屋に戻って行った
イザマーレたちが立ち去った途端、静まり返り気まずさが漂う広間
ベルデとバサラは、同時に降臨したダンケルと酌を交わしながら
彼女たちを見守っている
ダンケルは、隣でほろ酔い状態になっている ダイヤの頬を撫で
ご機嫌の様子だ
「…リリエルちゃんや閣下たちがいると、
明るく元気にかき回してくれるから、楽しくて仕方ないんだけど…」
「そうじゃない時は、なんかいつも揉め事ばかりしてるよね。 (^-^;」
ばつが悪そうに苦笑しながら、改めて乾杯し合うバナトラとメーラ
「やっぱりさ、プエブロドラドの中の事くらい、リリエルちゃんに頼らず
あたし達で何とか出来るようになりたいよね」
「うんうん!! そうすれば、ダイヤ様も苦労が減りますよね。
みんなで考えましょ!!」
鼻息荒く前のめりになるプルーニャに、ムーランとリリアも頷く
「バナトラさん…この間はごめんね。
改めて、事件の概要を教えてくれる?」
バナトラに向かい、真摯に尋ねるkoji
ようやく和やかな雰囲気になった事に、花蓮光もホッとする
事の発端についてポツポツと話し出すLily‘s
「なんだ。そんなくだらん輩がいるのか。
さっさと捕らえて残酷に処刑してしまえば良かろう」
言葉尻を捉えたダンケルは、退屈そうに提案するが
隣で聞いていたダイヤは顔をひきつらせる
「相手が信者だと思うと、躊躇う気持ちもありますし…💦」
「無理に処刑するのは、君たちにも負担になるだろうね。
でも、相手が勝手に動いて罠にはまり込むなら、
誰の責任にもならないし良いんじゃない?」
にこやかに提案するベルデ
相変わらずのんびりした口調ではあるが、
内容の恐ろしさにわずかに背筋が凍り付くLily‘s
「僕らが処刑する時は、魔袋が便利なんだよね~ ふふ♪」
「…そうか。迷惑な厄介さんたち丸ごと、
ひとつの空間に閉じ込めてしまえば良いんじゃない?」
ベルデの言葉をヒントに、花蓮光が冷静に提案する
「!! それ!!すごく良い!!!」
「うんうん、閉ざされた空間の中でなら、
どんなに好き勝手に騒いでも周りの迷惑にはならないもんね」
「…閉ざされた空間かあ…」
その時、kojiが閃めいた
「( ゚∀ ゚)ハッ! あのGホイホイ…
あれを少し大きくすること出来ますかね?」
………!!………
「「「それだーーーーーーーー!!!!」」」
🐞Lily’sの災難 Fin.🐞
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