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ダイヤと楓


魔の扉 総集編 Ⅰ


イタコに連れられ、魔界に足を踏み入れたあの方のストーリー




里好に連れられて魔界に来てどれほどの時間が経ったのか…

魔宮殿に来てから疲れもたまり、数時間は寝かせて貰っていた。

目を覚ませば高い天井広いベッド…


ムクッと起き上がり伸びをしていると、ノックする音が聞こえ返事をする。

「お疲れは取れましたか?お食事持って参りました」

宮殿の使用魔が食事を運んで来てくれた。

お礼を言いながらベットから出て食事を済ませた。


…ダイヤはこんな所に住んでいる…

それも…私では全く手の届かない、ましてや話すら出来ないような

高貴すぎる存在の悪魔と一緒の空間にいるのだ。


夢のような世界…私もずっと居たい…。


これが…ある決断をする始まりだった…






部屋から出ると真っ直ぐに延びた広い廊下

絨毯が敷かれ、天井にはシャンデリアが等間隔に吊り下がっている

圧倒されながら歩いていくと、使用魔が頭を下げ通り過ぎる。

会釈しながら周りをみていた


「楓ちゃん、こっちだよ~陛下も待ってるから」


ダイヤが嬉しそうに言ってくる。


目の前で陛下に会えると思うと胸が高鳴り

ガチガチになりながらダンケルの前で挨拶を交わした。


「ゆっくり過ごすがいい。何か分からないことがあったらダイヤに聞けば良い」


微笑むダンケルに、ダイヤがウハウハしながらベタついている。




「……お世話になります💦」


甘ったれてるダイヤを見て、引きつりながら何故か愕然とする


この厳しい世界で…デレデレってありえるのか?


ダンケルと挨拶も終わり廊下を歩いていた


「楓ちゃん、私の職場に来る?長官も居るし挨拶する?」

「……でも、長官もお仕事されてるのに…大丈夫なの?」

「大丈夫だよ。 へーきへーき」


「……聞いてからの方がいいんじゃない?」

「楓ちゃん気にし過ぎ」


躊躇う楓に、ケタケタ笑っているダイヤ…


「いや、先に会うのはリリエル様からだな。

あんたが一番お世話になってる方から。

いきなりアポ無しで長官に会うのは非常識過ぎるわ。

よくこの魔界でやって行けるわね

しっかりしなさいよ。あんた陛下の后でしょ💢」


「…楓ちゃん怖いわ、分かったよ」

ダイヤは引きつりながら頷いている。


…本当に…こいつ…大丈夫なのか?器の私でも常識位分かるわ…

めちゃくちゃ構成員に迷惑を掛けてるんじゃないの?…それとも

この世界がそんなシステムなのか?…頭の中でグルグル回る




ダイヤに連れてもらい、魔界のプエブロドラドに初めて足を踏み入れた。

人間界と変わらない普通の街並みに楓は驚きを隠せなかった。


「驚いた?いつもこの村で警備してるのよ〜」

歩きながら嬉しそうに説明するダイヤ。


「…へ〜そうなんだね…ダイヤ一人で見回りしてるの?」

辺りを何気なく見ながら応えた。


「まぁね~色々有るけどね。

あ、私は悪魔だから一人、ではなくて1魔、だけどね」


ニコニコしながら、レストランの前で立ち止まった


「ここにリリエル様が来ているから、入ろう」


ダイヤがレストランの扉を開けて楓も中に入った

中は広くお洒落なお店だった。


「あっ!リリエル様〜!」


ダイヤは奥にいるリリエルを見付けて声を掛けた。

リリエルも微笑みながら手を上げる

…横に居るのは…イザマーレだった。


近くに行き楓は頭を下げた


「いつも ダイヤがお世話になっております。

今日はお忙しい中有難うございます💦」

再びガチガチになって挨拶をする楓。


立ったままの楓を見てリリエルは座るように勧めてくれる

リリエルの前に座ったが…

一緒になって ダイヤも座り始める。

話をしようとするが… ダイヤがろくでもない話をし始めている。


(…全く…リリエル様と話す機会がないじゃないの💢)


イラッとしながらも話を聞いている楓。




「…器の楓が全く話が出来ないようだが?」

イザマーレが気が付きニヤッとしている


「おぃ💢ダイヤ!お前任務はどうした?何サボってやがる💢」


そこに現れたウエスターレンが、イラッとしながらダイヤを睨んでいた


「あ!長官〜楓ちゃんがリリエル様と話したいっていうから連れてきたの✨」


ダイヤはニコニコしてウエスターレンに言った。


「…やっぱり任務だったんだ…今すぐ行きな

あんたが任務終わるまで待ってるから、行ってきなよ」


「え〜!だって一人にしちゃマズイでしょ?」

一緒に居たいらしくウダウダしているダイヤ


「レストランで待ってるから大丈夫。長官に迷惑かけるなさ。

任務を怠るな💢行って来い💢むしろ直ぐに行け💢」


「怖いなぁ💦分かったよ 行って来るね

私が来るまで、あまり出歩かないでね💦」


名残惜しそうにレストランを後にしたダイヤを見送り、ため息を付いた


「お騒がせして申し訳ありませんでした。

長官も少しだけお付き合い頂きたいのですが…よろしいでしょうか?」


改めて楓は伺い、ウエスターレンもイザマーレの横に座ってくれた


「…今回、器の私がこの魔界にお邪魔して思ったのですが…本体のダイヤを見て…

アイツはこの魔界で本当にやって行けるのでしょうか?

閣下にも長官にも、更にリリエル様にも迷惑掛けっぱなしで…

あのまま本体があの状態なら、陛下にも構成員にもご迷惑かける

皆様のご意見を聞きたいのです。

アイツは…魔界に必要不可欠な存在ですか?」


(おい、これ…前にもどこかで見たな(笑))

(…裕子の時か。)




楓の言葉を聞きながら、目配せし合うイザマーレとウエスターレン


「…んー、楓様の仰る”必要不可欠な存在かどうか”など

考えたこともありませんよ。それに…

どのように感じてらっしゃったか分からないけれど、

この魔界も、そんなに厳しいだけの世界ではないのよ?」


口元に手を当てながら、にこやかに話すリリエル


「…そうだな。現に、リリエルの器の里好は、

魔界で暮らしていても、のんびりと穏やかに過ごしているしな

恐れてばかりいる者には、いつまで経っても世界は優しくならない

それは、魔界だけでなく、どこに居ても同じではないのか?」


そう言って、リリエルの髪を撫でるイザマーレ


「例えば…お前は、誰かに必要とされてるから、生きているのか?

そうじゃなければ、生きるのをやめるのか?」


楓を見ながら、ニヤッと笑う


「ダイヤが必要不可欠かどうかなど、

敢えて聞かれれば我々には全くどうでも良い事だ。

あいつのやらかす事などたかだか知れてるから、どうとでもなるしな(笑)」


「ま、俺様にとっては、ダンケルの重し役として重宝してるけどな(笑)」


「もう!ダイヤ様の悪口ばかりダメですよー!!

良いところもたくさんあるんですから」


リリエルが優しく言いながらイザマーレと見つめ合い、ニコニコしている


楓は何とも言えず、見つめていることしかできなかった


「…あいつの仕事ぶり見てみるか?突っ込み事満載だけれどな(笑)」


ウエスターレンが八重歯を見せ微笑む。

楓が思ってることなど、全てお見通しなのだろう…




次の日…


楓は魔宮殿の使い魔に情報局へ連れてってもらい

監視カメラでダイヤの仕事を見ていた。


何とも自由に巡回をしていたが、

時には…街で出会った住民と話をしたり、

信者同士で言い争ってる中に進んで仲裁に入って、お互いの話を聞いている。

そして最終的には解決させ和解までさせている。


ダンケルの前でクネクネしている姿と違い、驚きを隠せなかった。

ちゃんとやるべき事をしているのだと内心ホッとしていた。


そして…プエブロドラドの出入口に着き

設備の点検をしていた ダイヤの所に低級悪魔が姿を現し、

お互いに笑顔で話している。


見た目は物凄い顔の悪魔達…


「どうだ?ダイヤの仕事ぶりは?自由にやってんだろ?」


いつの間にかウエスターレンが横で煙草を付けてモニターを見つめている


「あの…悪魔達は…」


「あいつらは低級悪魔。人間を平気で喰らう奴らだな。

村から出りゃ彼奴等の生贄にもなりかねないが…

リリエルのおかげで、奴らは村の住民を襲うこともなければ

ダイヤとも話が出来る。 ダイヤがいい話し相手になってるんだろう。

リリエルに伝えてもらいたい事や不平不満をダイヤに言ってるようだな」


ウエスターレンがニヤッとしながら話す。


「…そうなんですか…」

楓はじっと画面を見つめ、呟くように言った


 
 
 

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