リリエルと理恵
- RICOH RICOH
- 2024年11月18日
- 読了時間: 4分
理恵
時間軸では「本当のリリエル」なのだが、
イザマーレが寄り添ったのは、彼女ではなく3年過去のリリエル
最初に潜入した「近所のおじいさん」と死別した後
自分の元にイザマーレが現れる事はなく、最高魔軍との出会いもなく
ただ、「本当の居場所ではない」と思いながら
器の里好と一緒に過ごしていた
だが自分の過去に起こる出来事は、
いつしか記憶として刻まれていく
全ての事を否定しながら生きていた理恵の記憶の中に
イザマーレの導きにより明るさを取り戻し、「過ち描いた」はずの世界に
楽しさを見つけていくリリエルの想いが伝わる
そして、「過ち描いた世界」を塗り替えて真の物語していこうとする
イザマーレの信念を理解する
自分の人生を否定するために「理恵」という名前で生きていた里好に
「理恵」ではなく「里好」として、リリエルの物語を紡いでいくべきだと伝える
「理恵」から「里好」に名前を戻したことで、理恵は人間界で生きる拠り所を失い
悪魔のたまごとして魔界に発生する。セルダ経由でイザマーレと再会を果たし
魂を浄化され、プルーニャを器として長年過ごしてきた
時には梅の木に宿りながら
黄金の雄鶏に扮したイザマーレとリリエルを眺め続けていた
プルーニャの結婚を機に、器から抜け出し
霊魂のみで自由に魔界を行き来するようになる
スプネリアの事件でイザマーレにその存在を見出され、
屋敷の敷地内にある学生寮の魔木に定住するようになった
人間として生きていた頃
関わりのあった者たちの心の闇と、常に逃れられずに過ごしていた
だからこそ、冷徹過ぎる目で世の中を俯瞰しており、
世の中の真髄を、嫌という程理解している
言葉は物事の本質を捉えているため、
常に心に鍵をかけ、自分の感情を抑えて過ごしているリリエルの
里好とは違う代弁者と言える
リリエルの本音を知りたいイザマーレにとっては
「我儘を言えるようになったリリエル」に他ならない
一方、リリエルは
イザマーレに対する愛の力は底知れないが、
理恵のようなスーパードライな気質はもともと兼ね備えている
世の中を冷静な目で見ているのは理恵と変わらない
無償の愛、それ故に怒り狂うパワーも強い
自分より未来に起きた、理恵の存在については
可能性の一つとして考える事もあり、理恵にならずに済んだ事こそ
イザマーレの計り知れない愛によるものだと理解している
………
「…こんにちは~。里好、来たよ~。お邪魔しま~す♪」
「あ、リリエル。いらっしゃい。どうぞ」
ちょうど理恵とリリエルのプロフィールを書き起こしていた里好は
タイミングの良い本悪魔リリエルの登場に、やや焦りながら
立ち上がり、お茶を用意する
「今日もお買い物?お疲れ様だね。ゆっくりしていって」
「(*´艸`*)ありがとう。戴くね」
相変わらずリリエルは、ニコニコ微笑みながら、
美味しそうにお茶を飲んでいる
「…リリエル?どうかした?…ひょっとして、何かあった?」
表情を観察しながら問いかける里好に、
ティーカップに口をつけながら見つめ返すリリエル
「ん?うん…そうね、あったかも。でも、嬉しい事なのよ」
(…///////)
元は、自分の中に居た存在でありながら、
こういう仕草の一つ一つが、愛される要因だろうな…と
しみじみ思う
「(´∀`*)ウフフ…閣下がね。
最近、私には内緒でどこかにお出かけになるのよ
その度に、すごく懐かしい香りが漂ってくるの」
思わず見とれて言葉を失くしていた里好に
改めて微笑みながら語り始めるリリエル
「里好…きっと、里好は全部知っていたのよね。
私は、時折、彼女の存在を想像することしか出来なかったけど」
「!リリエル…」
「閣下なら、彼女の事もきっとお救いになってくださる
私のせいで蒔かれた不幸の種を、決して見放さない方だから…」
「…うん、そうだね」
「(*´艸`*)とても意地っ張りなんだって仰ってた♪
だから、私が会いに行こうとしたら、きっと隠れんぼされちゃうでしょ?」
「(笑)…そうかも」
それ以前に
きっと理恵とリリエルが同時刻・同じ場所に居合わせるという事は
起こり得ないだろうと、頭の片隅で思いながら
楽しそうなリリエルの様子に、里好も思わず笑う
「だから…里好にお願いしようかな、と思って。
もし、彼女と接触出来る事があったら、私の言葉を届けてほしいの。
“しあわせは、きっとその胸の中にある。望むものを手に入れてね”って」
「!!…リリエル…///////」
「あ、そろそろ帰らなくちゃ。お邪魔してごめんなさいね。
お茶、ごちそうさま(*´艸`*)」
ふんわりとした微笑みを残し、立ち去るリリエル
屋敷へ戻る道すがら、数か月前の事件を思い返していた
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