top of page

伝説の始まり


その日の放課後

早速エレジアをウエスターレンとセルダに紹介したイザマーレ


「せっかく学内で生まれたセッションなんだから、

生徒同士で楽しもうではないか」


そんな風に笑うイザマーレに

ウエスターレンも笑みを浮かべ、エレジアを受け入れる。


ひと見知りで他者に警戒心の強いセルダは

全身でアンテナを張り巡らせながらも、イザマーレの指示には従う




チューニングをして音出しを始める

イザマーレも、セルダの作った激しい楽曲に合わせた声づくりをする為

念入りに四股を踏み、ストレッチを行う


ウエスターレンがドラムを打ち鳴らし、イントロを奏でようとした瞬間

ふっと闇に包まれる教室


「!?」


セルダとエレジアは驚愕し

イザマーレは表情を変えず、振り返る

ウエスターレンはげんなりとした表情でため息をつく


「いよ~♪諸君。何やら楽しいイベントの真っ最中のようだね?」


場違いなほど禍々しい姿で、黄金の髪をなびかせながら

闇の大魔王とは真逆と思えるほどの満面の笑みを浮かべるダンケル


「殿下。如何なさいましたか?」

すかさず頭を下げ、歩み寄るイザマーレ


「思い浮かんだのだよ。最善かつ凶悪で、最も効果的な

美の方程式をな♪それで、赴くままに手掛けてみたのだ。」




数十曲もの組曲を引っ提げて、満足そうに微笑むダンケル


譜面を受け取り、言霊で曲のイメージを脳内に再生させたイザマーレは

目にした景色に驚く


「殿下、驚きました。

実は、吾輩も先日ある場所で浮かんだ景色がありました。

殿下の描かれる様式美の方程式に、吾輩も酔いしれたいです。

その先にある景色を、殿下にも是非、お見せしたい」



「そうだろう♪」

嬉しそうに何度も頷くダンケル


「そしてな♪ついでに私も、お前たちと一緒に活動させてくれ♪」


「………は?」


一同キョトンとして固まる


「良いのだ。そこでは、大魔王だの、皇太子だのといった

堅苦しい隔ては要らない。一緒の活動仲魔として接してくれて良い♪」


ツカツカと足音を軽快に響かせながら、自由に室内を闊歩するダンケル


「私にも何か楽器を貸してくれ。お前のギター、カッコいいな💕」

ニコニコと歩み寄るダンケルに、


「へ?…い、いやだよ!」

思わず拒否するセルダ


「…やれやれ…仕方ねーなあ。今日は俺のを貸してやるよ」

心の底からため息をつきながら

調整済みのギターを差し出すウエスターレン


「うむ♪お前は…エレジアと言ったな?私の前では暴れるのは控えろよ?」

そう言いながら、あっという間に場を取り仕切るダンケル


歴史的な悪魔軍団、『最高魔軍』が創設された瞬間だった…


 
 
 

最新記事

すべて表示
校長のサロン

「理栄先生!!本当ですか…!!」 噂を聞きつけたスプネリアとリリア、ムーランの3名が駆けつけると 同じように見に来ていたプルーニャ、ダイヤと出くわす 「あら?早速、いらっしゃったわね♪お疲れ様です♪」 理栄がニコニコと微笑んで出迎える...

 
 
 
魔鏡学園

「イザマーレ、お帰り…っておい」 副理事長室で待ち構えていた守衛ウエスターレンが、一瞬固まる 「…浮気か?」 ニヤッと目を細めるウエスターレン 「ウエスターレン…馬鹿な事を言うな」 言葉とは裏腹に、静かに笑みを浮かべるイザマーレ 「あ、あの…」...

 
 
 
交錯

生徒会室で眼光鋭くモニターチェックしながら 紫煙を燻らせていたウエスターレン 突如、一番手前にあるモニターが光を放ち、画面にノイズが走る すらっとした指先を巧みに動かし、相手からのメッセージを受け取る 「…マジか。了解した。」 軍服を着こみ、すぐさま部屋を後にする …………...

 
 
 

コメント


©2022 by 里好。Wix.com で作成されました。

bottom of page