光の駆け引き
- RICOH RICOH
- 2024年11月6日
- 読了時間: 14分
屋敷の3階に特別に言霊で作られた部屋の中で
Lilyelはドレスに身を包み、支度を整えている
イザマーレも、特別に煌びやかな装いで
ゆったりと過ごしていた
2魔の周辺警護をするため、情報局で最終確認を
していたウエスターレン。
各地に配備している目玉蝙蝠から
送り付けられる画像を映し出すモニターが突如、真っ赤に染まり
同時にとてつもなく嫌な波動を受け取り
局員に矢継ぎ早に指示を出す
最初に感じ取ったのは、僻地に生じた衝突音
広大な魔界の中で、
東に無限に広がる荒れ果てた平原に感じる、明らかに異質な波動
天使が無許可で入り込んだか…
急遽、瞬間移動で現場へ向かうと、魔界全体を覆う結界に
亀裂を生じさせた摩擦で、黒焦げになった無数の天使の死骸
皮膚の焼ける臭いに顔を顰めながら
その場に降り立つウエスターレンの足元で
骸を切り裂き、天使の皮膜から飛び出した、もう一体の天使が
地上から天空に向けて矢を放つ
「………」
自暴自棄になったにしては、無意味に思える一連の行動に
危機感を募らせながら、淡々と蠢く天使を焼き払っていくウエスターレン
そこに魔法陣が現れ、ウエスターレンに近寄る影
「!!…お前…」
「…ウエスターレン、何があった?」
いつもと比べて、光の粒子が薄らいで見える
本体ではなく、分身の術を使ったのか…
「どうした。花婿はおとなしく屋敷に居ろ。姫君に叱られるぞ?」
「(笑)心配するな。だからこそ、分身術を使っておるではないか♪」
静かに微笑むイザマーレに、呆れつつも平静を取り戻すウエスターレン
「無許可で入り込み、挙句の果てに天空に向けて
無数に矢を放ちやがった…自死の恐怖に怯えた行動にしては
不可解だろう」
「…矢を?…!!」
ウエスターレンの言葉に疑惑の目を向けた瞬間、
凶悪な波動を感じ、身構えるイザマーレ
「!!!」
途端に、脳裏に映り込んだのは、強烈な光一色の世界
ウエスターレンは目を眩ませ、イザマーレの光を一瞬見失う
……くそっ……
(…ウエスターレン、吾輩は無事だ。落ち着け)
あまりの事に暴走しかけたウエスターレンの元に
イザマーレのテレパスが届く
「イザマーレ!?」
瞬時に本体に戻っていたイザマーレ
花嫁衣裳を身に纏ったまま眠りにつくLilyelを抱きかかえていた
「戯け者どもの苦肉の策にしては、舐めた真似を…」
怒り心頭なイザマーレの声に、さらに驚愕し
瞬時に移動するウエスターレン
「どうしたんだ、Lilyelは…!!!!!!」
「ウエスターレン。これは苦し紛れの無意味な行動などではない。
天界の奴らが計画的に練り上げた大量虐殺だ。見ろ…」
「…え…」
その時、見た光景は…
赤い炎と無数に上がる黒煙
数時間前まで、イザマーレとLilyelの婚姻の報せに
歓喜の渦に湧いていた民衆の、無数の亡骸…
いつもと何ら変わらない、穏やかな空気を纏うのは
2魔がいる屋敷の中だけだったのだ
「先に地上に降り立った天使どもの放った矢で結界に裂け目を作り
無数の銃弾爆撃を仕掛けてきたのだ
己の味方とも言える、天使の大量コピーを使ってな…」
冷静沈着に分析しながら、虚空を睨み上げるイザマーレ
「先頃行われた首脳会談が匂うな。話し合いは平行線だったというが…
奴らめ。すでに魔界に慣れ親しみ、その意思で鎮座する宝剣を
今になって惜しくなったとわめき散らしたかと思えば、
手に入らないとヤケを起こし、その世界ごと葬り去る。
これが、自らを神と名乗り、世に蔓延る奴らのやり口という事か…」
並び立ち、怒りを隠そうともしないウエスターレンに
イザマーレは静かに笑う
「ふっ…所詮、我々とは相容れる事などない奴らが相手だ。
この醜い方程式には、殿下も胸を痛めておられるだろう」
「そうだな…ただでさえ、このところ、ダンケルの奴
気落ちしていたようだからな。」
「!」
ウエスターレンの意外な言葉に、振り向き見上げるイザマーレ
その綺麗な金髪を撫で、微笑むウエスターレン
「…あいつはお前に惚れ込んでいるからな。Lilyelを紹介したお前に
落胆していた様子は、ここ最近の俺のお気に入りだ♪」
「! ウエスターレン…////また、殿下に対し、そのような…まあ良い。
理由はどうあれ、我々は今後も殿下をお守りするだけだ。」
そこへ、魔法陣で姿を現したベルデ
「おや…無事だったか。ベルデ」
「偶然、地下シェルターの調査をしていたからね…命拾いしたよ
彼女は…?大丈夫?」
相変わらずマイペースにのんびりとした口調で話すベルデ
「ああ、咄嗟の事で、強力な結界で覆ったからな。気圧の影響で
一時的に眠りについただけだ。心配はいらない」
そんな風に語りながら、プライベートルームのベッドに寝かせ
Lilyelの額に手を翳しながら口づけをするイザマーレ
「…ん…あれ…イザマーレ様…?」
目を覚まし、不思議そうに見返すLilyel
「Lilyel、すまない。婚礼の準備の最中なんだが、
急遽、殿下からの呼び出しがあってな。
少しの間、出かけてくるぞ」
「!…あ、はい。畏まりました…」
慌てて起き上がるLilyel
「すぐに戻るが…留守の間はこの部屋の中で待ってろ。
お前が寂しくないように、ウエスターレンとベルデも一緒だ。
良いな…?」
Lilyelの髪を優しく撫で、微笑むイザマーレ
その仕草に、ウエスターレンは確信した
(なるほど…姫君の目には地獄絵図など
触れる事も許さず、眠らせて記憶も書き換えたのか…)
「では、行ってくるぞ。ウエスターレン、ベルデ…頼んだぞ
ランソフ…留守の間、Lilyelをよろしくな」
マントを翻し、部屋を出て行くイザマーレ
「…あたた…先程から、頭痛が酷くて…」
部屋の中に残されたLilyelは、頭に手をやりながら
その場に佇む2魔に向き合う
「申し訳ありません。ウエスターレン様、ベルデ様…
私なら大丈夫です。きちんとお留守番しますから…
何か、緊急事態なのでしょう?
イザマーレ様にお力をお貸しくださいませ。お願いします」
「!…Lilyel、お前……」
ウエスターレンは驚き、見返す
「イザマーレ様ったら…優しく微笑んでくださったもの…
そんな時は、大抵…ね♪ そうなのでしょう?」
いつものように穏やかに微笑むLilyel
「…そうだな。お前の言う通りにしよう
だが、あいつの言う事は守れよ。お前はこの部屋で
ランソフたちと待ってろ。分かったな」
ウエスターレンとLilyelのやり取りを、静かに見ていたベルデも頷く
「じゃあ…僕たちも向かうね。ウエスターレン…こっちに」
そう言って作り出した特殊な魔法陣の中に消えて行く2魔…
「…殿下。お待たせしました。」
駆けつけたイザマーレに、
憔悴しきった憂いの表情で振り返るダンケル
ダンケルのそのような様子を目にしたのは
後にも先にも、唯一、この瞬間だけだった
「イザマーレ…どうしたら良い?
天界の奴らにここまで好き勝手に破壊しつくされ
為す術なく、愛しい子供たちが葬られるのを
見ているしかないのか……っ」
「殿下らしくないですね。失われた命なら、再生すれば良い事」
ダンケルの肩に手を添え、励ますイザマーレ
「!…イザマーレ、頼めるか?」
「御意。畏まりました」
すぐさま頭を下げ、王室を出ると
駆けつけたウエスターレンとベルデが待機していた
「直ぐに儀式にとりかかる。準備を頼む」
そのまま元老院に向かい、儀式用の装束に身を包む
「イザマーレ…こっちだ」
その間に特別なルートを作り、誘導するウエスターレン
「…オーラがこれまでにない邪悪に満ちている。
結界だけでは心許ない。ウエスターレン、屋敷の事は
お前に頼んでいいか?」
「心配するな、例え何があろうとも、屋敷には指一本
触れさせない。任せておけ」
ウエスターレンの答えにイザマーレは静かに笑みを浮かべ
足早に移動する
まさかこれが…
ウエスターレンと直接声で交わした最期の会話になるとは…
見渡す限り焼け野原で、黒煙が上がる大地に
夢幻月詠の澄み渡る声が降り注ぐ
闇夜に月光が煌めき、
魔界の空が元の穏やかさを取り戻していく
各地で消滅しかけた命がよみがえる
イザマーレの謡に、森羅万象の意思が寄り添い
幾重にも塗り替えられる様に、
羨望と焦燥から苛立ちを募らせるゼウス
最後のフレーズとなり、
伸びやかなビブラートを効かせるイザマーレ
ホッと息を吐く、束の間の休息
魔力を一時的に解放させ、
次の動作に移るためのその瞬間は
宿敵からすると最も狙い目であり、
普段であれば、ウエスターレンが神経を尖らせる瞬間だ
突然、強い光に取り囲まれるイザマーレ
「!!」
すかさず邪眼を開放させようとしたウエスターレン
取り囲む光にも負けない輝きを解き放つイザマーレから
テレパシーが送られてくる
(ウエスターレン…落ち着け。吾輩はどうやら
天界から暑苦しい出迎えを受けたようだ)
(!…待ってろ、俺もすぐ行く……)
(心配するな。こちらは何とかなるだろう
吾輩、そんなにヤワではないぞ♪)
(イザマーレ!!お前だけでは危険だ!!
…良いか?くれぐれも、無茶なことはするなよ。
お前の身体には傷ひとつ、つける事は許さんぞ!)
テレパシー越しでも、
馴染みのある紫煙の香りが漂ってくる気がする
ウエスターレンの言葉に、イザマーレもふっと力を抜く
(…やれやれ。敵地において、無理難題なことを…
それよりも、ウエスターレン…殿下や魔界の事を、しばらく
預けた。よろしく頼んだぞ)
ウエスターレンと交信を終えたイザマーレの元に近づくゼウス
敵地に居ながら、堂々たる風格で
さらに漲るオーラを解き放つイザマーレに
流石のゼウスも息を呑む
「…手違いで、世話になったな。
こんな場所は、吾輩には無用の世界。
早々に引き取らせてもらおう」
一歩も怯まず、不敵な笑みさえ浮かべるイザマーレに
より苛立ちを募らせていく
「なるほど…下界において、私より強い光を放つ
忌々しい正体はお前だったというわけだ。
……悪魔とするには惜しい
天に鞍替えして、私の元で力を発揮しないか?」
「断わる」
ゼウスの誘いに、にべも無く即答するイザマーレ
「臆面もなく断るとは💢💢
良いのか?魔界で強奪したままの宝剣は、
今もお前らの手元にあるだろう
私の意のままに粉砕させれば、魔界もろとも
消滅させる事もわけないことだぞ」
……!!……
ゼウスの言葉に、イザマーレの脳裏に浮かぶ
ウエスターレンとLilyel
屋敷にいる使用魔たち、そして、自らに好意を寄せ
惜しげも無く歓喜の声を上げる民衆たち……
そして
言霊により縛り付けてないかという不安と
生き血祭りに対する不安もよぎる
(であれば、ここらで消滅するのも悪くない……)
言霊になりきらないよう、心の奥底で呟きを落とし
改めてゼウスに対峙する
「吾輩を差し出す。
そのかわり、魔界には手を出すな!!」
思いもよらない返答に、むしろ唖然とするゼウスを前に
イザマーレは少しも躊躇する事なく仁王立ちになり、瞳を閉じる
イザマーレが拘留された部屋は、魔力を奪い
抵抗する術を失わせるが、それ以外は
闇雲に傷を負わせることもなく、三食も用意される
ただ、奪いとる魔力にも限度があるのか
イザマーレの真の底力まで奪いきることはできない
割と初期の段階から、
すぐ消滅などさせず、温存させるようだと
ゼウスの思惑を読み切るイザマーレ
監視の目を欺き、魔界の魔宮殿に眠る宝剣を
ひたすら透視しては、ウエスターレンやベルデと交信し合う
(ゼウスの話など信用してはいないが、
念の為調べてもらえるか)
(分かった。なるべく急いで報告を入れるよ)
ベルデとウエスターレンは共に魔力を駆使して
宝剣の秘密を読み解いていく
だが、彼らの魔力をもってしても
その呪い自体が古代言語で施されており
調べ上げるだけでも骨が折れる作業であった
(イザマーレ、ごめん…万が一の事も考えると
少し、時間がかかりそうだよ)
緊急時でも、のんびりとした相変わらずのベルデの口調に
却って緊張感を解きほぐされ、穏やかな表情を浮かべるイザマーレ
(承知した。すまないが、よろしく頼むぞ。
真相が分かるまで、吾輩を救おうとはするな。良いな…)
天界による急襲からこの間、わずか半日の出来事だった
イザマーレを魔質に、ゼウスは堂々と魔界に降り立ち
王都の中央機関を掌握していく
そして、主だった最高幹部の元へ、楔色の目玉蝙蝠が飛び立って行く
同時に、王都中を繰り返しアナウンスしていく、ゼウスのしわがれた声
『汚らわしい下層世界に無限発生を繰り返す、醜い諸君へ告ぐ
この世の全ては我が元にひれ伏す。私に媚び諂いたいなら今の内だ。
場合によっては、破格の好待遇で持て成してやろう(笑)
本日 亥の刻、諸君らに良いものを見せてやろう。
冥途の土産となるか、天に連なる分子となるか
どんな馬鹿でも理解出来ることだろう…』
広場にわらわらと集まり始めた群衆は、
目にした光景に一様に青ざめて固まる
「なぜ…!! まさか…イザマーレ様が……っ」
「軍は何をしているんだっ まさか…負けたのか……?」
「そんな事より!!……奥方様はご存知なの?ちょっとあんた!!!
早急に伝えてあげないと……っ」
「……っ 無理だ…こんな御姿を見て、どんなに嘆かれる事だろう……
俺には出来ねーよっ」
中央への疑惑、そして屋敷への配慮から業を煮やし
二の足を踏む悪魔達
だが……彼らの配慮は、すべて無駄だった
屋敷の特別ルームからプライベートルームに移動し
イザマーレの帰りを待ち続けていたLilyelは
突如聞こえてくる自然界の声に耳を澄ませる
……!!!!!……
慌てて部屋を飛び出すと
厳しい表情で怒りに震える使用魔たちの姿
(嫌な……嫌な予感はしていたの……)
あの日、急な呼び出しを受けて魔宮殿にお出かけになった後
魔界の空気が一段と澄み渡り、浄化されていくのを感じ取っていた
それが、愛するイザマーレの言霊である事は、明白だった
その後、突如、屋敷の中にノイズが走るようになり
灯りがゆらめき、完全に暗闇になる部屋もあった
(それでも……)
天界で拘留された一室から、夢の中に姿を現すイザマーレ
「暗闇で怖い思いをさせている。すまないな。おいで、リリエル…」
抱き寄せる腕は、いつもと変わらず、愛しいぬくもりに包まれる
「…“リリエル”…?」
Lilyelはキョトンと首を傾げて見上げる
「…贈ろうと思っていた、お前の名だ。こんな形で伝える事になるとは
思わなかったが…夢の中では不満か?」
「…いえ、嬉しいです。とても…有難うございます。でも…
やはり本当にお会いできた時に、名乗らせて貰いたいの。
だから、イザマーレ様…っ///////」
「ほら…言ったそばから泣くんじゃない。このまま朝まで
お前を可愛がってやるから…」
夢の中で口づけを交わし、身体を重ねたまま夜明けを迎えた
目覚めた時、部屋の中はイザマーレの柔らかな光に満ち溢れていた
束縛された姿を見世物にしようというゼウスの魂胆に
黙って従った理由は、他でもない
屋敷で怯えながらも、健気に待ち続けるLilyelに
光の夜明けを与えてやるためだ
婚礼の準備の最中に、公務で呼び出され
しまいには帰還も出来ずに拘束される有様だ。
(…あいつに見限られてしまわないようにな…♪)
だが、眼前には青褪めて震え上がる群衆
(やれやれ…幾度も救ってやった命…どうせなら謳歌してくれ
吾輩の魔身御供が、仇花にならずに済むようにな…)
見張りにも気づかれぬよう、小さな声で呪を唱える
愛すべき者どもよ 眠りにつき
再び目覚めた時には すべてを忘れ
皇太子ダンケルに忠誠を誓え
悪魔たるもの…いかなる時も
闘う気概を持ち続けよ
今だけは…泣く事を許す
良いな…
イザマーレの呪により
その場に居た群衆はおろか
王都内の悪魔は皆、一時的に自我を抜き取られ
木偶人形と化した
唯一、言霊の利かないウエスターレンを除いて…
実はこの時、宝剣の謎を解き明かしていたベルデとウエスターレンは
ひとつの結論に達していた
ゼウスの妄言も、あながち嘘とは言いきれず
何らかの呪いが掛けられていることは間違いないという事
ただ今のところ、ダンケルでさえ動かすことすら出来ずにいる
魔界に馴染んだ宝剣が、天界の意思に従うとも思えず
それならば、さっさとイザマーレを解放させ、
万事に備える方が、遥かにマシだと……
その事を伝えて、イザマーレが首を縦に振るとは思えないが
ゼウスに魔界を自由にさせ、油断させた所で、攻撃を仕掛ける
イザマーレを救い出す為には絶好の機会だと、狙いを定めていた
そこへ駆けつけてきたLilyelの姿に
イザマーレは初めて焦りの表情を見せる
……なぜ、泣いているのだ……
それこそが、彼女が言霊に操られず
無償の愛により、イザマーレに寄り添い続けた証なのだが
イザマーレにしてみれば、最も狼狽えた瞬間だった
Lilyelの泣き顔を見たのは、もちろん一度ではない。
だが、それはいつでも、イザマーレの腕の中の事であり
イザマーレだけが知る、お気に入りと言っても過言ではない
公衆の面前で、いや、それどころか
宿敵ゼウスの目前で、堂々と晒す奴が何処に居る!!?
無防備にも、程があるだろう💢💢
堪らず、声を届けた
その声に反応したLilyelの目から
涙が留まる事などなく、却って溢れ出す
…せめて、お前の笑顔が見れたなら…
そうは思ったが、仕方のない事
吾輩のいない世界で、お前の笑顔が守られる。
そのためならば、悔いはない
改めて、意思を固めるイザマーレ
Lilyelのすぐ傍で邪眼を開こうとしていた
ウエスターレンに、テレパシーを飛ばした
―これが、10万年以上もの歳月を要する、永の別れの瞬間だった
イザマーレがLilyelを髪に乗せ、魔宮殿でダンケルに謁見してから
わずか2日後の出来事である
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