副大魔王妃の地方行脚
- RICOH RICOH
- 2024年11月17日
- 読了時間: 16分
様々な苦悩や苦難も、生きていればこそ…
抱えきれなくなった時は、公設秘書のあの方にお任せあれ♪
セルダと楽しくハルミちゃんのお散歩デートをするプルーニャ
ハルミちゃんの気分に任せ、その足跡を追いかけていく
その日はそのまま人間界に降りて行った
向かった先は、プルーニャがかつて、
プエブロドラド入りする前に働いていた会社の前だった
懐かしさもあり、遠慮なく中を覗き込み、
かつての同僚の働きっぷりを眺めてニコニコしていた
その時、怒鳴りつける女の罵声に驚き、視線を向けると…
プルーニャの直属の上司だった相手に対し、激しく罵倒していた
彼女はその会社では最古参の「お局様」といえる存在。
仕事は出来るが、他人に厳しく、周囲の少しのミスについて
周囲の目も気にせず激しく罵る。理不尽な事については一切認めない
職場内は、彼女が退社する時間まで過度な緊張を強いられるのだ
当時と何も変わらない彼女の言動に、
かつては甚大な被害を被っていたプルーニャは
他人事とは思えず、暗い顔で俯いてしまう
「プルーニャ?どした?」
「あ…いえ、なんにもないです…」
慌てて笑顔になり、取り繕うが、いつもの元気ではないような気がして
不思議そうに首を傾げるセルダ
その日の散歩を終え、魔界に戻ってからも
何か考え事をしているように、心ここにあらずな様子のプルーニャ
数日後、文化局の森で
構成員同士のお茶会が開催された
ベルデの淹れたハーブティに
クッキーやケーキなどを頬張りながら
ざっくばらんな会話を繰り広げる最高魔たち
「…そういえばさあ」
「ん?どうしたのだ、セルダ」
「うん、最近、プルーニャの様子がちょっと変なんよね。」
何気なく呟いた一言に首を傾げ、声をかけるイザマーレに
どうしたもんだかと悩みながら話し始めるセルダ
「…あいつらの中では、割といつもお笑い担当というか
元気というか、楽しい奴だと思うが…」
「(笑)そうだよね…彼女のおかげで、
スプネリアもだいぶ元気になったし明るい子だよね」
イザマーレの率直な意見に、聞いていたラァードルも頷いて同意する
「うん…そうなんよね。俺もそういう所、すっごく可愛いと思うんよ。
なんだけど…どうもこの前、ハルミちゃんの散歩で
人間界に行った時から様子がおかしいんよ」
……
同じ頃、屋敷では、Lily‘sの女子会を開き
いつものように女子トークに花を咲かせていた
楽し気に会話をしながらも、時折何か気に病む事があるのか
いつもより大人しいプルーニャ
リリエルは不思議に思いながら、様子を窺っていた
(リリエル…ちょっと良いか)
(あ…はい、閣下。どうなさいましたか?)
その時、イザマーレからのテレパシーを受け取ったリリエル
(…今、こっちでセルダから話を聞いたんだが…
リリエル、お前もプルーニャの様子が気になるんじゃないか?)
…!…
イザマーレの声に驚くリリエル
セルダと会話しながらも、屋敷の様子を見守り続けていて
リリエルの惑いを感じ取っていたイザマーレ
(リリエル。話を聞いてやったらどうだ?お前なら…大丈夫だと思うぞ)
(?…分かりました。)
謎めいたイザマーレの言葉に、
さらに不思議に思いながら、プルーニャに向き合うリリエル
「プルーニャ様…?ごめんね、何かあった?良かったら、話を聞かせて?」
…………
「…そうだったの…」
人間界の会社で見聞きした出来事をひと通り聞き終えて
口元に手をやり、考え込むリリエル
「実際に目で見たわけでもなく、想像で語るのは申し訳ないけれど…
全て分かっているのに、過度に自分を縛り付けて、
悪い印象を敢えて植え付けてしまう、そんなタイプではないかしら?」
「!!」
ピッタリと当てはまる事に驚き、
顔を上げてリリエルを見つめるプルーニャ
リリエルはかつて、人間だった頃に働いていた
職場の事を思い返しながら、さらに話を続ける
「もしも、そうだとすると、私がその場にいたら、
つい、こんな風に声をかけてしまうかも…
“悪口は、すべて褒め言葉のつもりなんですよね?“と…」
「…!!…///////」
会社で見たお局様も、全部が見えて、気が回りすぎて
きっとしんどいから、周りに当たり散らしてしまうのかもしれない
漠然と思っていた事を、的確に言い表したリリエルの言葉に
涙がぶわっと溢れ、必死に堪えるプルーニャ
「そうなんですよ!!!
尊敬出来る部分もあるし、本当は優しい部分もある人やから、
なんか辛いんですよね…」
「きっと、その人に合わせるように、というか、
地雷を踏まないように仕事をこなせれば、
相当、能力が高いことになりますね」
これまたドンピシャなリリエルに、プルーニャは何度も頷く
「早くそうなりたいんですけど、なかなか💦
地雷まではいかないまでも、その人が想像した通りに
落とし穴に落ちちゃってます(^-^;
そんな時も、ご機嫌が良い時はフォローしてくれるんですが、
ご機嫌がナナメの時は周りを巻き込んで突き放されます💦」
「(´ー`*)ウンウン分かるわ」
実感を込めて相槌を打つリリエル
「でも多分、突き放しても大丈夫な程度だから、じゃないかな。
本当にヤバかったら、力を貸してくれる、そんな気もする」
「そうなんです!文句チクチク言いながらもフォローしてくれます
見放した方が楽やと思うのに、絶対に助けてくれます
ですが…意見も間違ってないけど、言い方とかその時の雰囲気考えずに、
真っ向からぶん殴りに行くんですよ。毎回、怒鳴りつけてきますし…」
「多分なんだけどね…実は、その人が大声で騒ぐことで、
起きた出来事を部署内で共有できて
何をするべきなのか、対処できるのかってことを
周りが察知することができるのよね」
「!!」
「そしてね、ついでに、本来なら何かをやらかした人に向かうべき、
なんと言うか怨嗟というか、批判というか
それを、その人が代わりに受けてくださってる……とも言える
とても、不器用だけどね」
再び、目を丸くして固まり、心のメモに刻み込もうとするプルーニャ
「(´∀`*)ウフフ… 実はね、私も人間だった頃、
同じような体験を何度もしていたの」
「!?…あ、あの有名な…ですか?」
「そうそう♪ でね、その度に、いつも私はこう言っていたな…」
『リリエルは、あなたのことは、意地でも嫌いになりません。
大好きです。でも、間違ってることはお伝えさせてもらいます。
だから、私にも何でも遠慮なく仰ってください
あ、良かったら、何か食べに行きませんか?』
懐かしく思い返しながら、当時の言い回しを真似るリリエル
「……///////」
リリエルの言葉を嚙み締め、咀嚼している間
顔を真っ赤にしてぽ~っとしてしまうプルーニャ
「そういう考え方もあるんですね。
あの時、その考え方を持ってたら、 その人を理解して
自分も、もう少し楽になれたかもしれないですね…」
「(´∀`*)ウフフ… プルーニャ様?それは今からでも遅くないのでは?
ハルミちゃんの気分次第…なのかな💕」
「…あ…そっか!!…///////」
リリエルの言葉をヒントに、思い付いたプルーニャは
いつものように鼻息荒く決意を固める
「これも想像なんだけど…
色んなことを知ってらっしゃるから、沢山のことを教えて貰えますよね
それこそ、家族の悩み相談とか、冠婚葬祭の時の常識とか、
何でもかんでも(笑)
プルーニャ様も、そうなんじゃないかな…?」
それから数日後
プエブロドラドの外で、スプネリアと一緒に
ハルミちゃんの散歩をしていたプルーニャは、目にした光景に固まる
日頃は、行き交う悪魔も絶妙な匙加減でお互いの距離をとり
見た目は平和で整然としている王都内
巨人サイクロプスも難なく通過できるほどの凱旋門
碁盤の目のように中央省庁が連なるビル群の前で
場違いに大暴れする生き物
当然のように情報局の監視網に捉えられ、局員に包囲されていた
瞬時に駆け付け、有無を言わさず火を放とうとしたウエスターレン
敢え無く灰と化すか…
誰もが確信し、日常風景に戻りつつあったその時
「あれ、なんだ。お前か…」
その生き物の素性に気づいたウエスターレンがひと言呟いた
「…×●!●×▽!!!!」
ウエスターレンの声が届いたのか それすら怪しい
ただ、目の前に姿を見せた中央の高官に対し、
怒りに任せ暴言を吐き、怒鳴りつけているようだが
取り乱し過ぎて、その内容すら聞き取れない
「…ここは、お前の好きにしていい場所ではない。
まずは鎮まれ。話はその後だ」
紫煙を燻らせながら、目玉蝙蝠を飛ばす
報せを受けて、すぐに魔法陣で姿を現したベルデ
彼女を見るなり、のんびりと笑う
「ああ、そうか…もう、そんな時期なんだね~(笑)」
………
ベロチーバは、王都から少し外れた地方に居を構える領主
領地に住む低級魔には、いつでも厳しく目を光らせ
公序良俗に反する行為を許さず、
逸脱する悪魔には公平に罰を与える
幸か不幸か、領地内は平和となり
それなりに土地も潤い、魔界の地方領地にしては繁栄している
それは間違いなく、ベロチーバの功績なのだが
常日頃、高圧的に支配されている民衆にとっては
不平不満の温床でしかない
加えて、彼女の魔性のサガ
年に何回かは、本当に手に負えないほど理性を失い、荒ぶるのだ
その時、これまで頑なに守り通したルールなど、
木っ端微塵に粉砕される
広大な魔界を束ねる中央にとって
ベロチーバの存在はとるに足らない事であり、
いちいち介入する事でもないと、適度に放置されていた
だが、副大魔王の執務室公設秘書を担うリリエルの元には
周囲にいる悪魔からの陳情が幾度となく届けられる
その度に、領地に訪れては難なく懐柔させ
周りも穏やかにさせていたのだ
王都内で暴れ回ったベロチーバは敢え無くゼノンの手に落ち
魔泡に包まれ、彼女の根城に送り付けられる
「リリエル。毎度、すまないな。
面倒だから言霊で解放させても良いのだが…」
リリエルを気遣うイザマーレではあるが
ベロチーバの大暴れは、王都では感じにくい
地方ならではの不満でもある
自我を押さえつけることで、彼女を大人しくさせた場合
その分、周りの悪魔が暴れ出すだけなのだ
大いに暴れる事で、中央への不満をある程度解放させ
その上で懐柔出来るのなら、その方が良い
リリエルに対し、絶対的な信頼を置くイザマーレならではの苦渋の判断で
毎年、一定の時期になると行われる副大魔王妃の地方行脚が
プエブロドラドの周囲に蠢く低級魔にとって楽しみな風物詩となっていた
「お!お妃様がいつもの場所にお出かけだぞ!!お前ら、行くぞ」
王都からツアー組んで地方までリリエルを見に行く低級魔たち
「え、俺初めてなんだけど…」
「そうだっけ?おーい、先頭にいる奴、目印つけてくれよ」
「あ?目印…お前、アレ持ってんじゃん」
「アレって…まさか」
「そう、そのまさかの副大魔王妃、リリエル様のポスター」
「あ…あれだけは…😭」
「じゃあ複写だけさせてくれよ。おーい、これでわかるか?」
(後方チーム)
「「わかるわかる(*^▽^*)」」
リリエルポスターの旗を先頭にゾロゾロ続く低級悪魔一行
「ヤバい💦副大魔王様に見つからないようにしろよ」
ハッと気づき、戦々恐々となる彼ら
「既に、すべて見てるが何か💢💢?」
苛つきを隠さず、怒鳴りつけるイザマーレ
その髪に、リリエルはいつもの笑顔で座っている
「あ…あ…あの…その…真面目になります
だから…ポ…ポスターだけはお許しを…(涙)」
震えながら懇願する低級魔たち
「仕方ないな。その代わり、
リリエルが迷子にならんよう、お前ら、頼んだぞ♪」
「「はーい」」
声を揃えて大絶叫する一行
………
「こんにちは。ベロチーバ様。」
出迎えがないにも関わらず、ズカズカと入り込むリリエル
「!! なんだい…また、アンタか」
リリエルの顔を見た途端、我に返り、不愛想に睨み付けるベロチーバ
「今年もこの界隈は実りが豊ね。いつ来ても、気分が良いわ」
「…ふんっ 呼んでもないのに何しに来たんだい!!」
「あら?用があったのはベロチーバ様でしょ?」
私に会いに、王都までいらしてくださったのよね?」
「////…小うるさい小娘なんかに、用なんかないわっ
アンタが勝手に言い放った約束の日から
一週間も遅れてたじゃないかっ だから…///////
だが、あんな洒落た場所なんか大嫌いだよっ
皆、興味本位で珍獣でも見るような目で舐め回しやがって…」
「クスクス…そうだったのね。ごめんなさいね
最高魔軍のツアーがあったから、公務のスケジュールが
少しずつ遅れてしまっていて…事前にお便りは出しておいたけど、
心配してくださったのね(*´艸`*)」
何を言っても、濡れ手に粟のようにのらりくらりとかわすリリエルに、
ついに溜め込んだ怒りが限界に達し、一気に捲し立てた
「領地内の他悪魔からの不満を漏れ聞いたんだ。
だが低能で、何も出来ない出来損ないの話なんて、なんの価値もない
文句があるなら、この領地から出て行くか、私以上に治めてみろ。
どうせ出来ないんだから不満を言うな
いつも私が盾になって守ってやってるのに、礼のひとつもない
私の指示を聞かないで好き勝手して、失敗した奴の面倒までみてる私は
中央からもっと評価されてしかるべきだろ!!」
顔を赤らめ、肩で息をしながら
これまでの鬱憤を吐き出し、憤慨し続けるベロチーバ
それでもリリエルは、いつもと変わらず穏やかな表情で聞き続けている
「私がルールだから、それ以外のやり方は認めない。
それでも逆らうなら、敵とみなし攻撃を加える
結果が伴わなければ、日頃の努力など何の意味もないんだ」
「自分を慕う者は守るが、反抗する者は
容赦なく叩きのめさないと気が済まない
私はそれだけの事をしているんだ!!」
「……そんなふうに、ゴネてらっしゃるけど、
そんな事、微塵にも思ってらっしゃらない。
そうでしょ?ベロチーバ様💕」
「!!…」
静かに耳を傾けていたリリエルが、ようやく発した言葉に
固まり睨みつけるベロチーバ
だが、リリエルは相変わらず
穏やかにニコニコと微笑んでいるのだ
「ゆっくり深呼吸して、周りをご覧になって。
貴女に不満を抱く者など、どこに居るっていうの?」
「はぁ?思ってるから言ってるんだろ💢💢お前何なの?
私に不満をもってる奴がいるから、こんなにイライラするんだろ
私のお蔭で平和に問題なく暮らせてるのに、何故、礼のひとつもない?
何故、私の言う通りに動けない?その態度が不満の表れだろ!!」
「貴女に不満を感じているなら、誰も好んで従ったりしないわ。
毎年のように大地を豊かに実らせる。
みんな、貴女の事を信頼してるからです」
「…どうだか…どうせ従ってるフリだろ
やっぱりお姫様してるアンタには何も見えてないんだよ」
意地を張り続ける言葉は同じだが、その態度はやや軟化している
当の本悪魔はそれすら気がついていないのだが…
「(´∀`*)ウフフ…そうかもしれないわね。
あとは、何でしたっけ?あ、そうそう。中央からの評価ね
もちろん、持ってきたわ
はい💕飴ちゃん🍬あげますよ♪」
「アンタ、バカにしてんの💢💢
中央からの評価が飴ちゃんなんて💢💢」
再び怒りがMAXになり、怒鳴り散らすベロチーバ
「そんなこと言って、大好きなくせに💕
貴女の土地で育った果物、穀物を元に作ったのよ
ほら、たくさん出して差し上げますから、皆様にお配りになってね♪」
そんなベロチーバの戸惑いなどお構いなしに
話をサクサクと進めていくリリエル
「私が今まで努力して守ってきた苦労なんて、誰にもわかんないんだよ
わかるわけないんだよ…配りたかったらあんたが配れば良いだろ
私はそんなのが中央からの評価なんて認めないから」
悔しそうに俯き、座っていた椅子に力なくもたれかかる
だが、そんな彼女の言葉尻を捉え、リリエルはニッコリと笑顔になる
「分かったわ♪皆さん、領主様からお許しを貰いましたから。
どうぞお入りになって(*^^*)」
「あ”?」
控えの間では、リリエルの作りあげた料理と飴ちゃんを楽しみに
領地内の悪魔たちが覗いていたのだ
ツアーに帯同してきた低級悪魔も、ちゃっかりと混ざっている
彼らの持ち込んだリリエルのポスターに興味津々だ
低級悪魔と”リリエルの良いとこ自慢”で盛り上がっている
「ほら、ベロチーバ様💕
こちらにいらして。遠慮なさらず♪」
「遠慮って…
ここは私の領地なんだから、私が遠慮する必要ないだろ
小娘こそ好き勝手するんじゃないよ💢💢」
リリエルを小娘呼ばわりされて、低級悪魔達からブーイングの嵐
だが
リリエルは、そんな彼女の態度など、とるに足らない様子で
相変わらず笑顔のままだ
「私は、飴ちゃんとお料理を運んだだけですわ💕
では、失礼しますね。でも、心配なさらないで♪
何度でもお邪魔しちゃうから(*´艸`*)
分かってるわ。大好きでしょ?私の事☆彡」
「…ああ、さっさと帰れ!!
アンタの事なんか好きじゃないよ。二度と来るんじゃないよ」
「あら残念。でも、私は大好きよ💕」
「うるさい///帰れ💢💢」
「ふふーん( ˙꒳˙ ) 本当は帰って欲しくないのね?
仕方ないから泊まってあげます💕
ね、皆さん(≧∇≦)」
リリエルの言葉に歓喜に沸く悪魔達
「…小娘頭は大丈夫か💢💢
もう……こいつ、話が通じない”(-“”-)”
お前達もとっとと出ていけ!!私が指示した事、
間違いなくやれよ!!!!」
リリエルの態度に呆れかえり
怒り続けた疲れで力を失くすベロチーバ
「分かったから!頼むから帰ってくれ!!」
「(* ̄▽ ̄)フフフッ♪
それなら、私を大好きになってくださる?
さ、皆さん。素敵なお返事が聞けるまで
キャンプファイヤーしましょう💕」
外では低級悪魔達がキャンプの準備に取り掛かっていた
部屋の中に居た悪魔達を誘い、外に向かうリリエル
「…わかった、なるから、帰ってくれ💦」
慌ててリリエルを追いかけ、外へ飛び出すベロチーバ
「っていうか、小娘💢💢
私の領地で好き勝手にキャンプファイヤーしてんじゃないよ
そこのお前も調子に乗ってギターなんか弾くな💢」
好き勝手に気ままに動くリリエルに困り果て
終にはイザマーレにリリエルを呼び戻してくれと
懇願の手紙を書くベロチーバ
「そうだ!!ベロチーバ様♪お願いがあるの
料理に使いたい、この食材を育ててもらいたいの💕」
「なめんなよ💢💢小娘が!!」
「お願いしておいて申し訳ないけど、失敗は許しませんから♪
ベロチーバ様なら、わけない事よね♪
甘くて大きい苺ちゃん🍓
魔宮殿にいらっしゃる大魔王后の大好物だからね♪」
「そんな知らない奴なんかどうでも良いよ
私は私の為にやるだけ!!」
丁々発止に、つい言い返してしまうベロチーバ
いつの間にか中央からの太いパイプを保証されている事に気づく事もなく…
「(´ー`*)ウンウン💕流石だわ。えら〜い♪
皆様も、無理にお願いしてごめんなさいね。
よろしくお願いしますね」
「リリエル様頑張ります♪」
口を揃えて喜ぶ領地内の悪魔
「小娘💢勝手に決めんなーーーーーっ」
再び怒鳴り散らすベロチーバ
だが、そんな彼女の元に、自然と群がる悪魔達
「領主様!教えてください!
土の種類は?水の量はこれで良いですか❓」
「…そんなことも知らないで
安請け合いするんじゃないよ💢ったく……💢💢」
ブツブツと文句を言いながら、仲良く苺作りに勤しむ彼ら
「あの小娘💢去年は桃って言いやがって
今年は苺かい💢💢…おい、その一角は、空けておけ
頼まれてもないみかんでも作ってやろうじゃないか」
さて、和気藹々と活気が戻った領地内で
彼らを眺め、また、一連のリリエルの行動に酔いしれながら
キャンプファイヤーを楽しむ低級魔たち
プルーニャを心配して迎えに来たセルダのギターの音色に
実は姿を消して見守っていたイザマーレと
全てをモニター越しでニヤつきながら見ていたウエスターレンが
揃って演奏に加わる
オーラが穏やかになった事を察したベルデも
ラァードルを連れて彼の地に訪れる
賑やかになる音につられ、にこやかな笑顔で駆けつけてきたバサラ
彼らの奏でる演奏は、五穀豊穣を約束する宴となり
肩を並べて、ノリノリになって見ているリリエルとプルーニャ
低級魔、そしてベロチーバと領地内の悪魔達…
(そうねえ…来年は、おにぎり用にお米かな♪)
🍓副大魔王妃の地方行脚 Fin.🍓
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