夢幻の世界
- RICOH RICOH
- 2024年11月17日
- 読了時間: 2分
その頃、本物のスプネリアは怪奇植物の中に取り込まれ、
深い眠りに堕ちて、夢を見ていた
遠い昔、人間界で出会った幼い頃のラァードルとスプネリア
近所に住み、いつも仲良く遊んでいた
成長と共にスプネリアは自然とラァードルに惹かれていく
だけど、音楽に興味を持ち始めたラァードルが
時折考え事をしながら遠くを見ていたり、
何かを思い出そうとしている姿を見て不安が過ぎる
忘れてる何かを思い出したら遠くに行ってしまう……
でも、今ここで気持ちを伝えてしまうと縛り付けてしまうかも知れない…
ラァードルにはラァードルの生きて行く世界があるのだから……
その時が来たら、笑顔で送り出してあげよう……
そう思い、自分の中に芽生えた淡い恋心を抑えるのに必死だった
誰にも悟られないように、特にラァードルに気が付かれないように
ある雨の日の朝、ラァードルからある曲が出来たからと誘いを受けた
嬉しい反面不安が大きくなっていく
ライデンの部屋の前に立つと不安がますます大きくなる
意を決してドアを開けると部屋の中にあった物も
そして、部屋の主も居ない。どこをどう探しても居ないのだ
不安が現実になってしまった
周りに尋ねて回ってもラァードルの事は誰一人知らないと言う
気がついた時には毎年皆で行っていた蛍がいる沢にいた
蛍たちが淡い光を放ちながら飛んでいる
その中の1匹がスプネリアの傍に飛んできたそっと手を差し出すと
手のひらに留まる。蛍に話し掛けるスプネリア
「……私ね、好きな人が居たんだけどね……
突然その人居なくなったの……ずっと一緒に育ってきたのに……
お別れの言葉も、気持ちも伝える暇もなく……
周りの人達に聞いても、そんな人はいないよって……泣」
スプネリアの周囲には、いつの間にか蛍たちが集まっていた
「……皆で慰めてくれてるのかな?! ありがとう……
彼が探していた物、思い出した物があるなら応援してあげないとね
私の……思いは……封印しなきゃね……」
(……サ、サビシイ……ナ、ナラ……ワ、ワレガ……ズ、ズット……
ワ、ワレノナカニ……イ、イタライイ……)
スプネリアを取り込んだ名も無き植物が
更に深い眠りに誘い込む毒を注入していく
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