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扉の向こう側


漆黒の扉の向こう―魔界


ダイニングテーブルで優雅にお茶会を開催している

お留守番の黒天使たち


「閣下とリリエルちゃんは、毎回大変だね。」

「上司があんなんだから、苦労するじゃんね」


優雅にお茶を嗜みながら、多忙すぎるイザマーレを気遣うバサラに

セルダも苦笑しながら愛猫のハルミちゃんを撫でている


「あれってさ、サムちゃんとリリエルちゃんの仲が良いから、

邪魔したいだけなんじゃねぇの」

「…あるような気がするね」


シフォンケーキを5つ纏めて頬張りながら、悪態をつくラァードルに

のほほんとしているが、やれやれとため息を零すベルデ


「お前ら、もっと協力しろよ!」

扉の向こうから戻ったウエスターレンは苛立ちを隠さず睨み付ける


「あ!ウエスターレン、おかえり~。

だって指名されないじゃんね。出しゃばるのはよくないんよ」


「そうそう!それにアドバイスしたって、上手くいかないでしょ」


端から諦めモードの2魔兄弟に呆れつつ

長すぎる脚を組んで紫煙を燻らせるウエスターレン


「だから上手くいくように、もっと協力しろって言ってんだよ」


「どう協力するんだよ。

じゃさ、誰かが女装してダンケルトートに近付くってのはどう?」





「それなら僕かな。美しさは…」


「…同じ種族の俺たちの気持ちもわかってないのに、

女心なんてわかるのかな」


ラァードルの奇抜なアイディアに、なよなよとポーズを決めるバサラ

それらを後目に、冷静に指摘するベルデ


「だよなぁ」

ラァードルは6つめのケーキに手を伸ばす



「ハルミちゃんの気持ちも全然わかっとらんし」

「女心がわかってないのに、猫の気持ちがわかる訳ないだろ(苦笑)」


改めて、やり切れなさに盛大にため息をつく黒天使たち


「…よく考えたら、ロリコンだよね」


「(爆笑)最初聞いた時はびっくりしたよね。」

「びっくりしたどころじゃなかったよ。見間違えたのかと思ったよ」


的を得たバサラの発言に、腹を抱えて爆笑するラァードル

そして案外と容赦ないベルデ


「まさかこんなに時間がかかるとは思わなかったな」

改めて、苦笑するしかないウエスターレン


たかだか女一名を手玉に取るのに

最高魔力を誇る黒天使をこき使いながら

幾度となく失敗を繰り返す、憐れな闇の帝王ダンケルトート


「でもさ、前に比べたら、今はリリエルちゃんの傍にいられるから、

閣下もまだ頑張れるよね」





長い間、リリエルに会う時間さえ確保できず、

一魔、ダンケルトートの横暴に律義に応え続けてきた

イザマーレの雄姿を見続けてきた黒天使たちは

バサラの言葉に、一斉に頷く


「だよな。前はサムちゃん一魔で頑張ってたもんな」

ケーキを食べ尽くしたラァードルは、煙草を吸いながら、

かつての日々を思い浮かべる


「…未だに俺との時間なんて風前の灯火だぜ」


イザマーレのサラサラな金髪を、最後に撫でたのはいつだろう…

可愛らしい姿を邪眼に投影させ、愛しく眺めるウエスターレン





 
 
 

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