新たな出会い
- RICOH RICOH
- 2024年10月20日
- 読了時間: 7分
その日、新任で学園を訪れたばかりのリリエルは
初めての校舎で迷子になってしまい、
焦って途方に暮れていた
「……ここも違う…さっきと違って凄く広いお部屋……」
あてもなく彷徨い歩くうちに、
とてつもなく重厚そうな部屋の前に来てしまっていた
(えっと…ど、どうしよう(^_^;))
その時だった
「あれ、お前は……どうしたのだ?こんな所で」
「!………あ……/////」
後ろから声をかけられ、振り向いたリリエルは
その声の正体に気づいて顔を真っ赤にさせた
「? 今日から新しく来たんだろ?」
「…あ、あっ…あの、職員室に戻りたいんですけど
迷子になってしまって……//////」
恥ずかしそうに俯くリリエル
その様子に、思わずドキッとするイザマーレ
「そうか。初めてなら迷子になるのも仕方ないな(笑)
吾輩はイザマーレだ。副理事長をしている。よろしくな。」
「…こ、こちらこそ!わ、私はリリエルと言います。
お邪魔してしまい、申し訳ありませんでした!」
リリエルは深くお辞儀をして、慌ててその場を後にしようとした
「(笑)迷子なのに、どうやって戻るつもりだ?
まあいい。どのみち今日はもう、仕事は終わりだろ?
家まで送ってやるから、待ってろ」
イザマーレは笑いながら、
リリエルを副理事長室の中に招き入れた
リリエルを送って行った先は、元老院の裏庭だった
「すみませんでした。どうもありがとうございます。
ここで、大丈夫です!」
「?…ちゃんと家まで送るぞ?」
不思議そうにリリエルを見るイザマーレ
「…実は私は、ここに咲いている花です。
いつも憧れていたイザマーレ様が、あの学園の副理事長に
就任されたと聞いて、どうしてもお傍にいたくて…///」
「! それで女の姿に化身した、ということか?」
驚くイザマーレに、リリエルは恥ずかしそうに微笑んだ
そして、自分の秘密を打ち明けた
「ふふっ 私自身の力だけでは、時間制限があるので
夜になると花に戻ってしまうんです(*^^*)
それでも、どうにかあの学園でお仕事させて貰えるように
魔界図書館でたくさんお勉強しました。
イザマーレ様にお会い出来て、お話も出来て
帰りまでご一緒出来て、凄く嬉しいです♪」
「…お前だけでは、と言ったな?何か条件が合えば
ずっと女でいられるのか?」
「//////あ、はい…で、でもそれは、内緒…」
言いかけて固まるリリエル
気がついたら、イザマーレの腕の中で抱きしめられていた
「…あ、あのっ…//////」
「吾輩に隠し事が出来ると思うな。
好きな相手から愛されれば。そう、お前の心が教えてくれたぞ」
「!……/////」
「出会ってばかりでは信用されないだろうから
これから毎日、迎えに来てやる。どうせ
学園までの道も迷子になるんだろ?」
ニヤッと笑うイザマーレ
真っ赤になって、ボーッとしてしまうリリエル
可愛くなり、優しく髪を撫でてその場を立ち去ったイザマーレ
副理事長室の前で、初めてリリエルと会話した時から
一目惚れをしていたのだ
屋敷に戻った後、ウエスターレンの言葉に驚いた
「ああ、あの可愛い子な。なんかすっげー、そそられるよな。
学園中の悪魔があの子のこと気に入って、狙ってるようだぞ」
マジか…初日にして既に……
これは、悠長に構えてもいられないな……
イザマーレの恋心に火がついた瞬間だった
リリエルと出会った日は、ちょうど週末だった
翌朝、イザマーレはリリエルと別れた場所に再び訪れた
学園は休みだが、何故かすぐ会いたくて仕方なかったのだ
花に戻ったリリエルの姿も見てみたい、そう思いながら…
「…あ、イザマーレ様♪」
予想に反して、昨日と何も変わらず
微笑みを浮かべてリリエルはそこに居た
「…リリエル、おはよう」
抱き寄せたイザマーレは、その身体の冷たさに驚いた
「…冷えてるな」
髪を撫でて、見つめるイザマーレ
(/////あ…あったかい……嬉しい…)
聞こえてくるリリエルの心の声に、更に驚く
「まさか…一晩中、その姿でここに居たのか?」
「あ、えっと…花に戻ろうとしたんですが…
何故か戻れなくて…(^_^;) 季節が春で良かったです(笑)」
「!…ば、馬鹿!それなら何故すぐ吾輩の所に来ないのだ!
すまない、吾輩のせいだな。昨日、お前を抱きしめたから…」
イザマーレは慌ててリリエルを屋敷に連れ帰った
プライベートルーム内にあるシャワールームにリリエルを押し込み
リリエルの着ていた服のクリーニングを使用魔に指示し、
代わりの服の手配を命じた。
とりあえず今は応急処置として、
イザマーレのバスローブを貸してやり
温かい飲み物を持ってくるよう、言づけた。
「…かしこまりました。
新しいご衣裳の手配は、なるべくゆっくりいたしますね♪」
事情を察した使用魔ランソフは、
含み笑いをしながらイザマーレに応じた
数分後、シャワールームからリリエルが出てきた
イザマーレも小柄だが、さらに小柄なリリエル
バスローブもブカブカで、裾が床につきそうだ
大きめの袖にくるまれて、
真っ赤な顔で恥ずかしそうにするリリエルに
湧き上がる食欲を必死で抑えるイザマーレ
「(笑)ブカブカだな。ちゃんと温まったか?
着替えが来るまで、ここにいればいい。」
「///はい♪すみません、ご迷惑をおかけしてしまって…
ありがとうございます。何から何まで…」
ソファーにちょこんと座り、
イザマーレが手配したホットコーヒーを飲む
(…すごーい。本当に王子様みた~い☆彡)
リリエルから聞こえてくる心の声に、なぜか癒されるイザマーレ
マグカップを持つ小さな手
フーフー冷ましながら、少しずつ飲む口唇…
大きめのバスローブから覗く、柔肌…
それらすべてに魅せられ、目が離せずにいた
「ふう…あったかいです。生き返りました(^-^;」
「…良かったな。お前、あんな場所に居続けたら危険だぞ。
どんだけ無防備なんだ?」
「あ…そうですよね…でもあの、私は花でしたから
家族なんていないし、帰れる場所もなくて…」
困ったように照れ笑いして呟くリリエル
「このまま、ここに住まないか?」
「…!…え////////」
驚いて、イザマーレを見上げるリリエル
イザマーレはリリエルのすぐ隣に座り、見つめ返す
「お前が花に戻らなかったのは、
好きな相手との恋が成就した証拠。そうだろ?
お前が望むなら、ずっと居てくれて構わないよ」
「////////」
「出会ったばかりだが、
吾輩の愛はお前の魔法が証明している
好きだよ、リリエル…」
「////…わ、私のほうが、
ずっとずっと好きです…イザマーレ様…」
「…知ってる」
イザマーレはフッと微笑み、そっと口づけを交わした
真っ赤な顔で震えるリリエルが愛おしく、
そのまま口唇を重ね、押し倒した…
夜通し、愛し合った2魔…
翌朝、リビングでウエスターレンに紹介される
ウエスターレンもニヤッと笑いながら
リリエルを受け入れた
「よろしくお願いします。
お2魔様の事は、よく存じております。
あの裏庭で、よく一緒に歌とギターを
合わせていらっしゃいましたよね♪
愛し合うお2魔様のお傍にいられるなんて、夢みたいです♪
私とも是非、仲良くしてくださいね」
イザマーレと一緒に学園まで出勤したリリエル。
職員室に入ると、ミルが話しかけてきた
「あっ、リリエル先生。
今日から貴女のお部屋はここではありません。
ご案内します。どうぞ」
連れて行かれたのは、週末にイザマーレと出会った場所。
副理事長室の隣の部屋だった。
「えっと…あの…?」
戸惑うリリエル
「迷子になるのは困りますから、送り迎えも含め、
副理事長にお任せするようにと指示を受けております。
今後の事は、副理事長からご説明があるかと♪」
ニコッと微笑み、ミルはお辞儀をして立ち去った
早速、副理事長室を訪れたリリエル。
「失礼します。副理事長、あの…」
「リリエル、ご苦労。これからは、隣の部屋を自由に使え。
吾輩の公設秘書でも良いかと思ったが、
お前の努力を無駄にしたくないのでな
校長として、一緒に学園を盛り上げていこう。どうだ?」
重厚なデスクに座り、厳かなオーラたっぷりのイザマーレは
リリエルを見つめ、静かに伝える
「…!で、でも、いくらなんでも、新米の私が校長なんて…」
慌てて狼狽えるリリエル
「心配いらない。先ごろ行われた、職員採用試験だが
お前は首席だった。しかも、歴代最高点で、だ。
それがまさか魔界図書館での独学だなんて、思わなかったぞ(笑)
そして…」
イザマーレはリリエルを抱きしめる
「この学園で、生徒たちに教え込みたいのは、
我々悪魔がどうしても忘れがちな愛だ。
それを教えられるのは、お前以外にいない。そうではないか?」
見上げるリリエルに微笑み、そのまま口唇を重ねる…
副理事長と校長の2魔三脚システムが出来上がった瞬間だった
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