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旅のはじまり


あれからベルデが色んな薬や療法を試していたが、

良い兆しは見えてこない


ラァードルもヤキモキしているが、

得意の雷ショック療法だけは使わないでいた


1番弱い雷でも、人間のスプネリアには

かなりきついショックになりかねない


一方、スプネリアも記憶を懸命に探そうと試みるが

やはり思い出せずにいる、だが、渾身的に世話してくれて

何かあると助けてくれるラァードルに自然と惹かれていく…


本当に記憶を失くす前に愛していた相手なのか?もし違っていたら?


自分の鼻を掠める香り、背中から伝わる体温に

覚えがあるようだけど思い出せないのだ


またラァードルの姿が見えなくなると、ソワソワして落ち着きを無くす

その時にはリリエルが傍にいて励ます



そうした不安の日々を過ごしていると、雷神界から交信が入る


映し出されたのは、雷神帝と雷帝妃だ


「ラァードル、スプネリアちゃんの様子は……?」


「うん、まだ記憶は戻ってない…記憶を操作する呪いが

まだスプネリアの身体の中に残ってるらしいんだ。

それを取り除ければ元に戻ると思うだけど、

雷ショック療法はやってない。彼女には負担が大きすぎるから…」




それを聞いた雷神帝が、問いかける


「ラァードルよ、お前に聞く。絶対にスプネリアを助けたいか?

仲魔たちの手も借りず、お前だけで

どんな困難にも立ち向かう覚悟はあるか?」


「!!そんな覚悟はいつでも出来てる!見くびらないで欲しい!」



「ふふ……よく言った!ラァードル。それならば1度帰って来い。

こちらにどんな呪いも打ち消す薬草がある。ただ、手に入れるには

その薬草を護る者に気に入られなければならないけどな」


それを聞いたラァードルは雷神界に行こうと決めたが

「…スプネリアを置いてはいけない」

と頭を悩ませる


すると雷帝妃が優しい笑顔で告げる


「彼女も一緒に連れて来なさいな。

薬草を手に入れたら直ぐに飲ませないといけないしね」


「分かった!すぐそちらに向かう準備して行くよ!」


雷神界との交信を見聞きしていたイザマーレ達も動き出す

彼らだけで行かせても、離れ離れになる時がある。

試しにベルデがラァードルのクローンを出した事もあったが、

記憶が無くても本能で分かるのか、

怯えて泣いてしまったくらいだった


イザマーレとウエスターレンは

今回の事件の経緯報告と謝罪をする為に

リリエルは不安定なスプネリアのサポートの為

ベルデは医療サポートと飛行船運航する為

一緒に雷神界に同行する事が決まった




出発準備をしていると、

バナトラとメーラがイザマーレの屋敷に押し掛けてきた


「バサラの事、聞きました!!閣下、本当にごめんなさい!

私の事もスプネリアちゃんのために使ってください!!」


今回の事件の真相を知ったバナトラは責任を感じていたのだ


怒り心頭のバナトラに、何の事か判らず、オロオロしながら

なんとか宥めるメーラ


「さっきからバナトラちゃん怒ってて、よく分からないんです。

閣下、何かあったんですか?!」


「ああ……説明してやりたいが、今は急いでるんでな。

面倒だ、お前らも全員着いて来い♪

そしてリリエルのサポートを頼みたい」


イザマーレの提案に困惑するが、手伝いが出来るならと快諾した

準備を済ませたウエスターレンとリリエルも一緒に元老院に向かう

見た事のない飛行船が横付けされてるのを見て驚く2名


「リリエルちゃん、今からどこ行くの?

閣下に着いて来いと言われたから来たけど…

飛行船があるからびっくりだよ(^-^;」


「ごめんなさいね。今から急いで雷神界に向かうのよ

詳しくは乗り込んでから説明するから」

「さあ時間が惜しい、さっさと行くぞ」


イザマーレとリリエルに急かされ、慌てて乗り込むと

既にラァードルとスプネリア、ベルデがホールで待っていた


「ベルデ、悪いが急遽こいつらも連れて行くことにした

バナトラは看護師だからスプネリアの体調変化にも役立つだろうし、

何かしらのサポートになるだろうからな」





「…分かったけど、定員オーバーだよ💦全く💦

ま、君たちがいるから、何の心配もないだろうけど(苦笑)」

呆れ顔になりながらも受け入れるベルデ。


森型の飛行船が雷神界に向かい動き出す


皆が集まった広間で、今回の旅の目的を話すベルデ


「なるほど、薬草を取りに行って、それを飲ませると

記憶が戻るかもしれないという事なんですね?」


「そうなんだ。それでどんなに急いでも2日はかかると思うし

イザマーレ達はどうせ扉を消すだろうから、

リリエルちゃんの代わりに

スプネリアちゃんに着いててくれるかな?」


「分かりました!スプネリアちゃんが

安心して過ごせるようにしますね」

詳細を把握した2名は喜んで快諾する


スプネリアの傍でサポートしようと準備していたリリエルを

問答無用で引き寄せ、奥の部屋へ連行していく悪魔が2魔…


「えっ…ち、ちょっと、あの///////」

驚きながら成す術なく連れて行かれるリリエル


「最近、お前のおねだりをちっとも聞いてやってないからな。

褒美をやらないとな♪それに、スプネリアのために、一刻も早く

雷神界に辿り着きたいだろ?その為には、

我々が協力してやらんとな♪」


そんな事を言いながら、リリエルを抱き上げるイザマーレ


「!!…で、でも…」


「スプネリアの事なら、心配いらない。

その為にあいつらを連れて来ただろ?」


ニヤッと笑いながら奥の部屋に入り、直ちに扉が消えた





 
 
 

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