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日常の風景


朝…


リリエルの夜明けはいつも、イザマーレの腕の中から始まる


眠りを妨げないよう、静かにベッドを抜け出そうとするのだが

大抵、失敗に終わる


何故なら、目覚めはいつもイザマーレの方が早く

リリエルが起きて、モゾモゾと動き始める様子を静かに観察されているのだ


「リリエル…もう少し、ゆっくりしたらどうだ?」


そんな事を言いながら、口唇を重ねてくる


「…ん…あ、あの…//////」


僅かに抵抗しながらも、心地よさに抗えず、とろけそうになる

そんなリリエルの髪をやさしく撫でながら、口づけはより深いものに変わる


数分後、ようやく口唇を解放され、そっと見つめ合う


「…これで良いか?今日もよろしくな。」

「////はい…閣下はもう少し、ゆっくりなさってくださいね」


イザマーレの魔力で、今日のコーディネートが整えられ

心地よいぬくもりの中からようやく出て行くことを許される


庭園の水やりをしながら離れにいる使用魔たちと挨拶を交わす


ずっと厳しい寒さが続いたが、最近は肌に触れる空気からも

春の息吹を感じる




お気に入りのプランターには、チューリップの葉が勢いよく伸び

まもなく蕾を開こうとしている

(…ふふっ 何色さんかな?)



土、水、空気…様々な条件の順列組み合わせにより

同じ球根でも、その年によって、咲き誇る花の色が変わるのだ


(…青っぽいのも、素敵なんだけどな…)


赤やピンク、黄色やオレンジ


どちらかというと、光と火のエレメンツが融合したような色合いが多い

だが、昨年は紫の花が咲いた


(…閣下の紋様のような、美しい青も見てみたいんだけどな…)


そんな事を心で呟きながら、屋敷の中に戻り

キッチンで3魔分の朝食を用意し始める。コーヒーの香りが漂い始めた頃

副大魔王としての出で立ちを整えたイザマーレに抱きしめられる


「あ、閣下♪おはようございます(*´艸`*)」


コーヒーを淹れながら微笑むと、すかさずキスされ

真っ赤になった顔を覗き込まれる


「…何を考えてる?」


「えっ…あ、いえ…//////」


心の奥を見透かされ、恥ずかしそうに俯くリリエル


「(笑)…まあ良い。だがあまり、気にするんじゃないぞ?分かったな?」

静かに微笑み、リビングに向かうイザマーレ




「//////…ふう…」


照れまくりながら、キッチンを後にするイザマーレを見送りつつ

やや思案気にため息をつく。だが、気を取り直し、

出来上がったばかりの朝食をワゴンに乗せて、リリエルもリビングに向かう



ここ数日、朝の時間に、リリエルの脳裏を占めているのは

青色のチューリップの事ばかりなのだ


朝食を済ませ、家事タイム…といつもの忙しさになる頃には

そんな思い煩いも封印させるのだが…


ウエスターレンと共に2階に上がり、執務室で半端じゃない仕事量を捌きながら

イザマーレも1魔、ため息を零す


「レン…」


寝室でウエスターレンと肌を寄せ合い、愛し合う

熱い愛撫に身を捩らせ、震撼させながら、お互いの瞳に居場所を確かめ合う


いつもと変わらない時間に安堵しながら

ウエスターレンの表情を盗み見るイザマーレ

イザマーレの仕草に気づいたウエスターレンは、

腕に抱き寄せてサラサラの金髪を撫でる


「イザマーレ…俺の前では遠慮するな。何でも相談しろ」


「!…だが…//////」


ウエスターレンの言葉に目を瞠り

それでも次の言葉を躊躇う素振りを見せるイザマーレ


「お前とリリエルと守り抜く事。それは、俺にとって誰にも譲れない誇りなんだ。

お前が何を言おうとも。分かるな?」




「………」

ウエスターレンの言葉を嚙み締めながら、じっと見つめるイザマーレ


「お前を愛し、リリエルと寄り添うお前を守る役目を、

お前が許してくれればな♪」


「…ウエスターレン!!」

思わずプンスカするイザマーレの口唇に、

ウエスターレンの口唇がゆっくりと重なる

「…さ。そろそろ休め。何も、心配は要らないから…」


「…ウエスターレン…それなら、どうだろう。

午睡を終えたらリリエルを連れて出かけないか?一緒に…」


「良いだろう。午後のスケジュール調整は任せておけ♪」


まどろみながら提案するイザマーレの髪を撫で、寝息を堪能しつつ

目玉蝙蝠を飛ばすウエスターレン



 
 
 

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