日常の風景
- RICOH RICOH
- 2024年11月18日
- 読了時間: 4分
朝…
リリエルの夜明けはいつも、イザマーレの腕の中から始まる
眠りを妨げないよう、静かにベッドを抜け出そうとするのだが
大抵、失敗に終わる
何故なら、目覚めはいつもイザマーレの方が早く
リリエルが起きて、モゾモゾと動き始める様子を静かに観察されているのだ
「リリエル…もう少し、ゆっくりしたらどうだ?」
そんな事を言いながら、口唇を重ねてくる
「…ん…あ、あの…//////」
僅かに抵抗しながらも、心地よさに抗えず、とろけそうになる
そんなリリエルの髪をやさしく撫でながら、口づけはより深いものに変わる
数分後、ようやく口唇を解放され、そっと見つめ合う
「…これで良いか?今日もよろしくな。」
「////はい…閣下はもう少し、ゆっくりなさってくださいね」
イザマーレの魔力で、今日のコーディネートが整えられ
心地よいぬくもりの中からようやく出て行くことを許される
庭園の水やりをしながら離れにいる使用魔たちと挨拶を交わす
ずっと厳しい寒さが続いたが、最近は肌に触れる空気からも
春の息吹を感じる
お気に入りのプランターには、チューリップの葉が勢いよく伸び
まもなく蕾を開こうとしている
(…ふふっ 何色さんかな?)
土、水、空気…様々な条件の順列組み合わせにより
同じ球根でも、その年によって、咲き誇る花の色が変わるのだ
(…青っぽいのも、素敵なんだけどな…)
赤やピンク、黄色やオレンジ
どちらかというと、光と火のエレメンツが融合したような色合いが多い
だが、昨年は紫の花が咲いた
(…閣下の紋様のような、美しい青も見てみたいんだけどな…)
そんな事を心で呟きながら、屋敷の中に戻り
キッチンで3魔分の朝食を用意し始める。コーヒーの香りが漂い始めた頃
副大魔王としての出で立ちを整えたイザマーレに抱きしめられる
「あ、閣下♪おはようございます(*´艸`*)」
コーヒーを淹れながら微笑むと、すかさずキスされ
真っ赤になった顔を覗き込まれる
「…何を考えてる?」
「えっ…あ、いえ…//////」
心の奥を見透かされ、恥ずかしそうに俯くリリエル
「(笑)…まあ良い。だがあまり、気にするんじゃないぞ?分かったな?」
静かに微笑み、リビングに向かうイザマーレ
「//////…ふう…」
照れまくりながら、キッチンを後にするイザマーレを見送りつつ
やや思案気にため息をつく。だが、気を取り直し、
出来上がったばかりの朝食をワゴンに乗せて、リリエルもリビングに向かう
ここ数日、朝の時間に、リリエルの脳裏を占めているのは
青色のチューリップの事ばかりなのだ
朝食を済ませ、家事タイム…といつもの忙しさになる頃には
そんな思い煩いも封印させるのだが…
ウエスターレンと共に2階に上がり、執務室で半端じゃない仕事量を捌きながら
イザマーレも1魔、ため息を零す
「レン…」
寝室でウエスターレンと肌を寄せ合い、愛し合う
熱い愛撫に身を捩らせ、震撼させながら、お互いの瞳に居場所を確かめ合う
いつもと変わらない時間に安堵しながら
ウエスターレンの表情を盗み見るイザマーレ
イザマーレの仕草に気づいたウエスターレンは、
腕に抱き寄せてサラサラの金髪を撫でる
「イザマーレ…俺の前では遠慮するな。何でも相談しろ」
「!…だが…//////」
ウエスターレンの言葉に目を瞠り
それでも次の言葉を躊躇う素振りを見せるイザマーレ
「お前とリリエルと守り抜く事。それは、俺にとって誰にも譲れない誇りなんだ。
お前が何を言おうとも。分かるな?」
「………」
ウエスターレンの言葉を嚙み締めながら、じっと見つめるイザマーレ
「お前を愛し、リリエルと寄り添うお前を守る役目を、
お前が許してくれればな♪」
「…ウエスターレン!!」
思わずプンスカするイザマーレの口唇に、
ウエスターレンの口唇がゆっくりと重なる
「…さ。そろそろ休め。何も、心配は要らないから…」
「…ウエスターレン…それなら、どうだろう。
午睡を終えたらリリエルを連れて出かけないか?一緒に…」
「良いだろう。午後のスケジュール調整は任せておけ♪」
まどろみながら提案するイザマーレの髪を撫で、寝息を堪能しつつ
目玉蝙蝠を飛ばすウエスターレン
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