皇太子の奮闘
- RICOH RICOH
- 2024年10月29日
- 読了時間: 4分
ラァードルは守龍との攻防を繰り返しながらも、話し続けていた
「ねえ、いい加減もう止めようよ
忠誠を誓い、厳命を死守するの大事だけどさ、
他にも大事な事いろいろあるじゃん」
「知らぬ!我はここを守れと言われておるだけだ
しかし、お主は何故に薬草が欲しいのだ?」
「そんなの決まってるじゃんか。吾輩の愛する女が一切の記憶を
無くして苦しんでいるから助けてあげたいんだ!
しかも、ここに薬草があるって聞いたら取りに来たいと思わない?」
そうラァードルが言いかけたところでそれぞれの脳裏に声が響く
『もう良い! 守龍よ、攻撃は終わりだ
そのお方は、雷神界の皇太子ラァードル殿下でいらっしゃる』
「ええ?!お主、何故身分をすぐに明かさぬのだ?」
「身分?肩書き?そんなの、あんたたちには何も関係ないだろ?
そんなのに頼るの、かっこ悪いじゃん
今、雷神界で偉いのは雷神帝である親父だしね
吾輩はまだまだ若輩者だよ」
そう飄々とした顔で答えるラァードル
『ふふふ……さすがですな、ラァードル様
今、私の倅に貴方様を案内するよう行かせましたので』
やっと無意味な攻防が終わりホッとしたラァードル
そこに現れた1匹の若き龍
「ラァードル様ですね? 御案内いたします」
「よろしく!……えっと君の名前は?」
「私の名前はまだ決まっておりません」
「へーそうなんだ、でも名前無いと不便じゃない?」
ラァードルは不思議に思い訊ねてみた
「我らの会話は全て直接テレパシーを
話したい相手に飛ばしますので
特段不便と思った事はないですね
ただ、我ら一族は雷神帝に代々仕えています」
へぇーと思いながら案内されたところに、
雷神帝の使い龍、紫雲が待っていた
「あ!紫雲じゃないか?薬草護る主って君の事だったんだ!」
「ラァードル様、お久しゅうございます
この度の事、ずっと見ておりました。
それにしても、良いお仲魔様に恵まれましたな」
「うん、皆良い仲魔だよ。それで薬草は分けて貰えるのかな⁉️」
「おお!そうでしたな。ここに薬草を準備しておりました。
今回はスプネリア様、大変な目に遭いましたな。
その前に、我が倅に貴方様から良き名を付けて頂けませんか?
我らは代々主となる皇太子殿下に名付けて貰う事で
使い龍になれるのです」
「そうなんだ、今ここまで案内してくれた龍が吾輩の使い龍に?
じゃあ……そうだな、 壱蛍って書いて『いっけい』なんてどうかな?」
若き龍に向かって問い掛ける
「……名前の中に蛍の字が? 確かラァードル様ご夫妻の思い出の……?
ありがとうございます! 頂いた名は大事にし、忠誠を誓います」
ラァードルの前で頭を下げる壱蛍
「じゃあ、宮殿に戻るよ。スプネリア達が待っているから」
「我らもお供致します どうぞ、我の背にお乗り下さい」
「うん、ありがとう!」
使い龍となった若き龍、壱蛍の背に跨るラァードル
その手には沢山の薬草を持ち、スプネリアが待つ宮殿へと向う
……
イザマーレとリリエルがシセンに案内され、部屋に向かった後
徐ろにウエスターレンが立ち上がり、雷神帝と目配せし合う
「雷神殿、皆の事お願いします
ベルデ、俺はちょっと出かけてくるから、頼むな」
そう言い残すと何処かに行ってしまった。
ウエスターレンを見送った後
雷神帝がLily‘sに振り返り、にこやかな笑顔を見せる
「さあさあ、お嬢様方、ゲームでもして遊ぼうではないか!」
雷神帝の手には色んなゲーム…Lily‘sはびっくりするが
キャーキャー言いながら選んでいく
「本当に嬉しい💕
いつもはシセンや紫雲しか相手になってくれないんだもの
スプネリアちゃんもこっちにいらっしゃいな。人数少ないと
つまらないんだもの︎💕💕ベルデ様も是非入って下さいな」
超ご機嫌の雷帝妃
「……はい、よろしくお願いします💦」
「分かりました、参加させていただきます」
かくして、大ゲーム大会が始まった
トランプゲーム、オセロ、ジェンガ、人生ゲーム……
雷神帝が人間界に赴いた時に
雷帝妃が喜びそうなゲームを見つけては
ウエスターレンに頼んで注文し、買い込んでいたのだ
それを聞いたLily‘sはますます大喜び。
「キャー雷神帝様、ステキです!雷帝妃様、愛されてますね」
「長続きする秘訣ってなんですか?」
「雷帝妃様は雷神帝様の何処に惹かれたのですか?」
など質問攻めにしながら、大いに盛り上がる…
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