解毒と捕縛
- RICOH RICOH
- 2024年10月29日
- 読了時間: 8分
皆と一緒にゲームを楽しんでいたスプネリアが
突然何かを感じ取り
「……す、すみません、少し失礼します」
と部屋を出て急ぎ足で宮殿の入口に向う
空を見上げると、此方に向かってくる二つの影
雷神帝の使い龍、紫雲と、ラァードルの使い龍になったばかりの壱蛍
入口前の広間に降り立つ2匹の龍の間にラァードルの姿があった
スプネリアを見つけるとすぐさま駆け寄り抱きしめる
「殿下、お帰りなさい。ご無事で?お怪我はないですか?」
「ただいま。心配しなくてもケガはしてないよ
それより薬草持ってきたから。これで記憶戻るといいな」
「……はい。それよりも、殿下の後ろにいらっしゃる
龍さんたちは……?」
「うん、紹介しておくよ 親父の使い龍の紫雲と……」
「スプネリア様、お目にかかれて嬉しく思います
私はラァードル様から名を授けられ
使い龍となりました壱蛍と申します
末永くお仕え致しますので、よろしくお願い致します」
「あ……こ、こちらこそよろしくお願いします」
びっくりしながらもお互いに挨拶をする
「龍雲と壱蛍は、そのままだと中に入れないよね?」
「そうですな、では失礼して……」
あっという間に人型に変化した2匹
「スプネリア、ベルデは何処にいるかな?」
「和尚でしたら、謁見の間で皆さんとゲームしてます」
「ゲーム?まさか母ちゃんの趣味に皆付き合わされてる?💦」
「お母上様はゲーム好きですからな(笑)」
謁見の間ではトランプゲームに熱狂中の雷帝妃とLily‘s……
雷神帝とベルデはチェスに興じていた
「ちょっと!」
と声掛けるラァードル。その後ろで笑い堪える1人と2匹
その声に雷神帝が気が付き鷹揚に応える
「おお!戻ってきたか、ラァードル
では、薬草は手に入ったな。紫雲よ、ご苦労であった」
「雷神帝様、ご子息様はご立派になられましたな
しかも、素晴らしいお仲魔達様もいらっしゃる」
「スプネリア様、お目にかかれて嬉しく思います
私はラァードル様から名を授けられ
使い龍となりました壱蛍と申します
末永くお仕え致しますので、よろしくお願い致します」
「あ……こ、こちらこそよろしくお願いします」
びっくりしながらもお互いに挨拶をする
「龍雲と壱蛍は、そのままだと中に入れないよね?」
「そうですな、では失礼して……」
あっという間に人型に変化した2匹
「スプネリア、ベルデは何処にいるかな?」
「和尚でしたら、謁見の間で皆さんとゲームしてます」
「ゲーム?まさか母ちゃんの趣味に皆付き合わされてる?💦」
「お母上様はゲーム好きですからな(笑)」
謁見の間ではトランプゲームに熱狂中の雷帝妃とLily‘s……
雷神帝とベルデはチェスに興じていた
「ちょっと!」
と声掛けるラァードル。その後ろで笑い堪える1人と2匹
その声に雷神帝が気が付き鷹揚に応える
「おお!戻ってきたか、ラァードル
では、薬草は手に入ったな。紫雲よ、ご苦労であった」
「雷神帝様、ご子息様はご立派になられましたな
しかも、素晴らしいお仲魔達様もいらっしゃる」
ラァードルから薬草を受け取り、
煎じに行くベルデに付き添うシセン
ラァードルが戻ってきたと知らせを受けて
イザマーレとリリエルも部屋から戻ってきた
しばらくするとベルデが薬湯を持って戻ってきた
「スプネリアちゃん、これを飲む前に言っておくね
これはかなり強い薬で、激しい苦痛を伴うと思う。
それでもいいかい?呪いから解放されたいなら、
それなりの覚悟がいるんだよ?」
「和尚、既に覚悟は出来てます。
記憶が無くても良いと殿下は言ってくれましたが
やっぱりどんな過去も全部受け入れ、
しっかりと前を向いていきたいです」
「…分かった。じゃ、始めるよ。
ラァードル、しっかりと支えてあげてね」
ベルデから薬が入ったカップを受け取り、
スプネリアは周囲を見渡す
「大丈夫!吾輩達が着いてるから」
ラァードルが笑顔で見守る
スプネリアは大きく頷き薬を飲み干す。
暫くするとガタガタと震え出し脂汗が身体中から吹き出す
スプネリアの身体を支えながら必死に呼びかけるラァードル
「スプネリア?大丈夫か?しっかりしろ!」
「で、殿下……か、か、身体中が……
ひき……さかれそう……い、い、痛い……!」
余りの激痛にのたうち回るスプネリア
皆で押さえ、イザマーレ夫妻とベルデがヒーリングを施す
雷神帝夫妻も励ましながらヒーリングの輪に加わる
激痛の為に気を失ったままのスプネリアが突然叫び出す
「……あなたは誰?何故私の身体の中にいるの? 早く出ていって!」
「? スプネリア……?」
「…何者かがスプネリアの身体の中に居るようだな」
「サムちゃん、それ間違いない?そいつが
スプネリアのこれまでの記憶を奪った奴なんだね
どうすれば彼女の中から追い出せる?」
その時紫雲が声を掛ける
「ラァードル様、スプネリア様は今、精神の奥底で
必死にこの呪いを仕掛けた首謀者と戦っております
かなりの危険を伴いますが、参られますかな?」
それを聞いてすぐ
「行くに決まってるじゃん!!
だけど、どうやったら中に入れるんだ?」
「…相手はサキュバス、つまり夢魔だろ?
そいつのテリトリーから入ってやるのが一番だ。
ラァードル、吾輩に任せろ」
「!!…サムちゃん、お願いするよ!」
すぐさま夢雲の準備を整えるイザマーレ
「夢の中に入ったら、ラァードルは
スプネリアを探し出す事だけに集中すれば良い。
夢魔の事は我々が処理する」
「閣下、私もお手伝いしますよ💕」
「もちろんだ。リリエル、頼んだぞ♪」
早速、台本を作り始めるイザマーレに、
にこにこしながら寄り添うリリエル
……
ルチカは目を覚まして不思議な感覚に捕らわれる
夜な夜な、他者の夢を喰らい、記憶を操る夢魔に、
本来は、眠りの時間は許されない
寝ていたという自覚はないが、目を覚ましたという事は
眠ったという事か…
味わった事のない恐怖を感じ、慌てて周囲を見回すルチカ
その目に、忘れるはずもない愛しい悪魔の姿が映る
「さあバナトラ、こっちへおいで♪抱きしめてやろう
お前を抱きしめる俺、綺麗でしょ~」
「素敵(≧∇≦)…あっ、いけない💦
バサラ!!いい加減にしなさい!!!って言わなきゃ…💦💦」
…バサラ様!!
そして、またしても、あの女…!!許さない……っ
嫉妬の炎に狂い、目の前の2名の姿に惑わされたルチカ
己の居場所さえ見失い、追い縋るように夢雲の外へ飛び出した
その途端、ベルデの仕掛けた魔袋に捕縛される
「…よし。これで大丈夫。」
その横で、ノリノリで夢舞台をやってのけたイザマーレに
腹を抱えて爆笑しながら、寄り添うリリエル
「もう!!何度も言いますけど、
リリエルはそんな事言いませんから💦」
「(笑)どうも、相手がお前だと思うと、主観が入るな♪」
これが噂のイザマーレお手製、悪夢の台本か!!!と
大爆笑するLily‘s
「何でも出来てカッコいいのに、お茶目さんなのね♪
素敵ね~。リリ、羨ましいわ♪」
雷帝妃の言葉に、雷神帝も大爆笑。
「…ところで、肝心のあいつ等はどうなったんだ?」
大活躍した台本を片手に、夢雲の中を透視し始めるイザマーレ
そこへ、出かけていたウエスターレンが戻り
イザマーレとリリエルに目配せしながら八重歯を見せて笑う
「さ、皆さん、お待ちかねのショータイムとしようじゃないか(笑)」
その途端、邪眼ロードショーが始まった・・・
サキュバスの事はイザマーレに任せ
スプネリアを探すラァードル
「スプネリア!何処にいる?吾輩だ!
ラァードルだ!返事してくれ!」
その時、ラァードルの足元に紫蘭の花が咲き道を作り出す
花を道標に歩き出すと、目の前に紫蘭の花が壁を作っていた
「スプネリア!ここにいるのか?いたら返事してくれ!」
「……?で、殿下? ま、まさか……?」
紫蘭の壁の隙間から姿が見えた。スプネリアは
記憶を失くした後の記憶の玉を持ち、
奪われないよう隠れていた
「スプネリア!見つけた! お前を苦しめていた魔女はサムちゃん達が
捕まえたよ。だから、もう出てきても大丈夫だから……」
その言葉を聞いてゆっくり振り返る。同時に紫蘭もサッと消えていく
ラァードルの顔を見た途端、泣き出すスプネリア
そばに駆け寄り抱き寄せる
「あの魔女、本当はバナトラさんを狙っていたらしいの……
でも、計画通りにいかなくなって腹いせで……
私の記憶を消したらしいの……」
「そうだったのか……怖かっただろ?
だけど、もう心配しなくても良いから…記憶を取り戻そう!
サキュバスは記憶を何処かに閉じ込めているはずだから」
そう言って探し始めたところに、壱蛍がやって来た
「スプネリア様、その新しい記憶の玉を翳してみてください
過去の記憶と呼び合う筈です」
「こうすれば良いの?」
頭上に玉を翳す。ラァードルもそっとスプネリアに手を重ねる
玉が光り出した途端、暗闇の中で同じように光る場所がある
「あれがスプネリア様の記憶ですね!ご案内します」
「うん、ありがとう、壱蛍!頼むな」
壱蛍の背に乗り光る場所に向う
その場所に来ると閉じ込められた記憶の玉があった
「ここから取り出せば全ての記憶が戻る筈です
ですが、ラァードル様と私はこのままここには居られません
過去と現在が交錯すると、私たちはスプネリア様の精神の中に
閉じ込められ、出られなくなるからです
ですから、スプネリア様お一人で解放するしかありません」
「分かりました。殿下、必ず戻ります!
だから……外の世界で待ってて下さい」
ラァードルはスプネリアを引き寄せキスをする
「待ってるから。必ず帰って来いよ!」
壱蛍の背からそっとその場に降ろす
「あの裂け目が閉じてから、
その玉を当てれば解放されますからね。
では、外の世界でお待ちしております」
ラァードル達が立ち去り、裂け目が閉じたのを確認した後
深呼吸してから過去の記憶が閉じ込められた扉に
そっと玉を当ててみると、扉に掛けられていた鍵が壊され
中に吸い込まれていく
しばらくすると扉が開いて失った記憶が一気に出てきた
走馬灯の様に駆け巡り全て思い出した
今自分がいる場所は本当の場所じゃない…仲魔の居る場所に
愛しい悪魔の腕の中に帰りたい、帰らなきゃ!!
そう強く思った途端、眩しい光に包まれる……
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