虎の子5 屋敷の前で
- RICOH RICOH
- 2024年11月17日
- 読了時間: 4分
さて。
魔宮殿見学をきっかけに、このままではイザマーレとの差を
いつまでも埋められないと危惧したシューゾウは
思い切って自分の思いを直接ぶちまける事にした
「リリエル様好きです!この気持ちは閣下にも負けません
魔力も立場も弱い俺ですが、リリエル様を想う気持ちは魔界一です!!」
毎日、暑苦しく告白しにくるシューゾウ
屋敷は常に、強力な結界で覆われており
そんじょそこらの肉声が部屋の中まで聞こえる事はなく
結界の壁に反響して、王都中に彼の声が響き渡るのだ
リリエルは何も気にしていなかったが、ダンケルやウエスターレンは
黙って見過ごす事も出来ない。その都度、対応に追われるリリエルも
流石に面倒に思い始めていた
「ごめんなさいね。少し静かにして頂けると嬉しいです」
市場に買い物に出たついでに、
道端に堂々と居座るシューゾウにそれとなく告げる。
だが、リリエルに直接話しかけて貰えた喜びに、シューゾウの胸は高まり
今度は決して迷惑にならないよう、プラカードに書いて掲げて歩き続ける
プラカードには
『リリエル様💕あなたは僕の光です✨
あなたのお側にいたいです✨』と書かれてる
プルーニャとセルダも毎日説得しに行くのだが、頑として動かず
見かねたエレジアが毎日お弁当を届けるようになっていた
物珍しさに興味津々だった低級魔からも、容赦なく突っ込まれる
「お前の根性も大したもんだけど、
お妃様には副大魔王様しかいないから、諦めた方が良いぞ」
「そうだな…悪いことは言わねえ…副大魔王様に消される前に諦めな」
プエブロドラドでも、シューゾウの事は噂になっていた
「周りの大人はちゃんと止めてるんですよ…💦
『リリエル様には閣下しか見えていないのよ』って……」
おかんのプルーニャは困り果てた様子でため息をつく
「聞かないのよ~💦」
花蓮光もハラハラしながらプルーニャを宥めている
どんなに煙たがられても
めげないポジティブさだけが取り柄のシューゾウ
時折、幼少期に聞いたウエスターレンの助言を思い出し
リリエルの周囲に心を配る事も忘れない
イザマーレに睨まれたら
「格好良いっす✨俺もあんな悪魔になりたいっす✨」
ウエスターレンに睨まれたら
「足が長くてイケメンて…長官ずるいっす
俺にも大人の仕草教えて下さい✨」
だが一瞬でもリリエルに微笑まれたら
「はぁ💕やっぱりリリエル様は女神様💕💕」と、
恋に胸を焦がし続ける
「そうだろ?だが残念だな。リリエルは、吾輩の女だ💕」
そんなシューゾウを前に、堂々とリリエルを抱き寄せ
仲睦まじい様子を見せつけるイザマーレ
イザマーレの堂々とした態度に、リリエルは嬉しそうに微笑む
館にいるソラにもすっかり覚えられたシューゾウ
「リリエルちゃま、またうるちゃいおにいちゃま来たの?!」
ソラの声が聞こえた途端、駆け寄りお菓子をあげるシューゾウ
「ソラちゃん!!良い子だから大人しくしててね。
僕が後で遊んであげますから☆彡」
「わーい(*^▽^*)ありがとう~♪」
いつもと変わらず屋敷の部屋の扉を消され、
相手にされないシューゾウだが、その代わりに
毎日のように遊んでくれるので
ソラは割と気に入っているようだ
幾度イザマーレとリリエルの前に打ち負かされ
その都度、蜂の巣状態の心になろうとも
何度でも立ち上がり続けるシューゾウ
「わかってます(涙)閣下に敵わないことも、
リリエル様が閣下しか見てない事も(号泣)
でも諦められないっす!!正々堂々とリリエル様にアタックし続けます」
バサラがアドバイスしようとしたら
「あ、間に合ってるんで大丈夫っす」
と、冷静になり、養父母の元へ帰っていく
そんなシューゾウにプルーニャの堪忍袋がついに切れる
「えぇ加減にしぃ💢あんたがずっとおるだけで、
リリエル様のお心を痛めてるんがわからんのか💢
好きな女を悲しませるなんて最低の男や💢」
プルーニャに怒鳴られて、下を向いて耐えるシューゾウ
ドスドスと足を踏み鳴らしてプルーニャがプエブロドラドに帰った後、
セルダが側にいてギター弾きながら慰める
翌日からシュプレヒコールはやめたシューゾウ
その代わり、運動会でリリエルとイザマーレ、
ウエスターレンに認めて貰うべく…走り込みをする
コメント