記憶も柵も
- RICOH RICOH
- 2024年10月29日
- 読了時間: 1分
……
宮殿の片隅に設けられた部屋で
お互いに一糸纏わぬ姿で幾度となく愛し合い
営みを繰り返していた
何度目かのまどろみで、腕の中に眠るリリエルを
飽きずに見つめながら、静かに微笑むイザマーレ
数日前のリリエルの戸惑いを思い出していた
(もし、閣下が記憶を失うような事があったら…)
お前は知らないはずだな、リリエル
吾輩が魔力を封印し、人間界に降りた時
自らの記憶を消しているのだ
もし仮にまた、同じような状態に陥ったならば…
吾輩は却って楽しみだ。
全ての柵から解き放たれた
吾輩の本音を思い知らせてやるのにな……
「…かっか…」
再び目を覚まし、すぐに吾輩を求めるお前が愛しい
「ここに居る…」
口唇を重ね、抱き寄せる
安心した表情を浮かべるリリエルの髪を撫で、再び愛し始める
光の海にさらわれ、波に浮かされるリリエル
百合の花の魔法にイザマーレも酔いしれ、溺れ続ける
営みは夜明けまで繰り返される………
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