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記憶も柵も


……

宮殿の片隅に設けられた部屋で

お互いに一糸纏わぬ姿で幾度となく愛し合い

営みを繰り返していた


何度目かのまどろみで、腕の中に眠るリリエルを

飽きずに見つめながら、静かに微笑むイザマーレ

数日前のリリエルの戸惑いを思い出していた


(もし、閣下が記憶を失うような事があったら…)


お前は知らないはずだな、リリエル

吾輩が魔力を封印し、人間界に降りた時

自らの記憶を消しているのだ

もし仮にまた、同じような状態に陥ったならば…

吾輩は却って楽しみだ。

全ての柵から解き放たれた

吾輩の本音を思い知らせてやるのにな……


「…かっか…」


再び目を覚まし、すぐに吾輩を求めるお前が愛しい


「ここに居る…」

口唇を重ね、抱き寄せる

安心した表情を浮かべるリリエルの髪を撫で、再び愛し始める


光の海にさらわれ、波に浮かされるリリエル

百合の花の魔法にイザマーレも酔いしれ、溺れ続ける


営みは夜明けまで繰り返される………




 
 
 

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