top of page

黒薔薇と大魔王


ダイヤが急遽ダンケルに呼ばれ、一緒に歩いていた


久々に人間界での黒ミサでウキウキしていた時だった。

一旦魔界に戻れと連絡が来たのだ


一緒に歩いているダンケルの横顔は

何か思い詰めているようにも見える。


「陛下?何かあったんですか?」

不思議そうに聞くダイヤ

「…ついてくれば分かる」

目も合わさずにダンケルは

真っ直ぐ見つめるダイヤの肩に手を置いた


そして魔宮殿のある部屋の前に立ち止まった。

「…ここからはお前だけ入れ…私はここで待っている」

ダンケルはやっとダイヤに目を向けて言った

「…は〜い。…???」

ダイヤは扉のノブに手を掛け開くと

何故かイザマーレとミカエルがテーブルを挟んで座っている。

入って来たダイヤを同時に見つめてくる


「…失礼します…💦」




扉を閉める際にダンケルが心配そうな顔を一瞬見せた。

ダイヤも何が起こるか分からず顔を曇らせゆっくり閉めた


進められた席に座り使用魔が運んで来た紅茶を飲みカップを置いた

「…あの……私に用事ですか?」

ダイヤが先に言った

「お前がリリエルの結晶だと言うことは知ってるよな?」

イザマーレが腕を組みながら言った

「…閣下、それは知ってますって😅何を今更💦」

ダイヤは明るく言った

「だが、リリエルとは違う別格だと言う事も分かってるよな?」


「……あの…何を仰りたいのかよく分からないけど…

散々聞いてますって💢」

ダイヤは少し苛ついた。

まるで再確認されてるような感じに取れたからだ


「なぜ、別格なのにリリエルと同じく対等にしているか…

考えた事はあるか?」

イザマーレの言葉に唖然として固まる。


「…何が言いたいの?閣下…対等にしてる?

結晶だからでしょ?同じ魂から分けられたから対等に…

その前に対等な扱いされてませんが?」

ダイヤは鼻で笑って言った


「お前はリリエルの魂を分けた片割れなんかじゃないと

何回言えば分かるのだ?」

イザマーレはダイヤを睨んで言った


「…は???聞き間違え?💢💢💢💢」

聞き間違える筈がない…でもとっさに出た言葉だった




「この際だ。はっきり言ってやろう。お前は

リリエルが最期の時に持っていた感情だ。恐怖と憎しみのな。

あいつが生まれ変わる時はそんな感情など要らんだろ?

だから切り分けて結晶にした。それがお前だ。」


「あ゛💢?今何て言いました?

要らないのを結晶にしたって事?」

流石にダイヤもイラつき始めた


「まだ言わせるのか?そうだ。要らん感情をお前にした」

イザマーレは含み笑いをして言っている。


「…閣下…あのさ…

言っていい事と悪い事ってあるじゃん💢

なんなの?いったいそれじゃ何?要らん結晶を作って

人間界に送り出したって事?で?

対等にしてるのが嫌になったって訳?

勝手な事を💢💢気分悪いわ💢」


「リリエルが優しくしてるからって

調子に乗ってるのではないのか?自由気ままにしてるよな?

ミカエルにも甘えて楽しいか?

陛下がいるのにも関わらず」


「…閣下。じゃあ何故私を結晶にした?どうでも良かったのなら

そのまま放置してれば良かったじゃないの?

人間界でも病気や怪我で他の人より苦労してきた。

そんな辛い思いしてまで生まれ変わりたくなかったわ💢

それを知って楽しんでた訳?

リリエル様を見つけ出して、片割れはどうなっても

構わないような言い方💢何なの??

今更どうする事も出来ないから仕方なく悪魔化?

リリエル様が優しくしてるから情け?

そんな情けなど要らんわ💢こっちが断るわ💢」




部屋の空気が変わるほどの静けさがあった。


大好きなリリエルの事を悪く言い…それに…

心から大好きだった閣下にも冷たく言われ

腹が立ち噛みつき…

涙が溢れるのを我慢して横を向いていた


「…で、私にどうしろと?悪魔化解約?

人間界へ出戻り?どーでも良いわ💢

リリエル様にも近寄らなきゃいいんでしょ?私が…

構成員様方とも話すなって事?陛下にも…

后を辞めさせるとでも言われてるの?

そりゃ要らん奴が魔界に居ても邪魔なだけだからね…」


次から次へと出てくる言葉に捉えられ

止めることが出来ないダイヤ


「閣下に言われてどんだけ傷ついてるか分かる?

リリエル様が大切なのは分かる。

だけど要らん結晶だって心はあるのよ。元人間だからね💢

そんなに毛嫌いしてんなら魔界から追放すればいい。

いつでもどうぞ💢今まで迷惑お掛けして申し訳有りませんでした💢

ミカエル様にもご迷惑かけてすみませんでしたね💢

甘えてました。リリエル様にもお伝え下さい。

私はもう話す事も有りません。

後は陛下と閣下で私をどう処分するか決めてください。」


既に涙が溢れながら言ってる事さえ気が付かなかった。


「…分かった。こちらで決めさせてもらう。

もうミカエルにも会えんぞ。そのつもりでいるんだな。

ミカエルだって仕方なくお前を相手してたんだ。

それすら分からなかったんだろ?ミカエルも、お前なんぞ

相手にしたくなかったようだしな」


イザマーレの言葉にミカエルも頷いていた。




ダイヤは恥ずかしかった。

そこまで嫌ならどうして相手にした?

結局はリリエル様なんだな、と悟った

やっぱり彼女には敵わない…

対抗しようとする方が間違いだった


本心はそう思ってもないのに…感情だけが暴走する。

涙を溢れさせながらクスクス笑っていた。

馬鹿みたい…こんな事で…泣くなんて…

当たり前の事を言われ、

勝手に傷つき泣いている自分に腹が立つ。


皆そう思っていたんだ…

それを調子に乗って自由にして魔界に居た自分…

陛下の后としてやっぱり適してなかった。

やらかした…もう後には引けない…


「最後に…要らん結晶から閣下にお願いがあります。

リリエル様にダイヤから…

お世話になりました。有難うございましたとお伝え下さい。」

ダイヤはそう言い残し部屋から出て行った。


フラフラになりながら部屋の外に出ると

ダンケルが扉により掛かり待っていた。


「…陛下…待たせてしまい申し訳ありません…」


全ての話を聞いていたのだろう…

何も言わずダイヤを見つめている


「…部屋に戻ります…今はすみません💦

1魔にさせて下さい…」

ポロポロ泣きながら頭を下げ歩き出した




ダンケルも何も言えず見送るしかなかった。

今はダイヤが立ち直るかそのまま消えてしまうのか、自分で決める時

本音は直ぐにでも助けてやりたい。抱きしめてやりたいと思っていた


…しかし…この先も魔界で過ごすなら…助けてはならないと…

あいつは絶対に乗り越えられると、思いを寄せていた



ダイヤが出て行った後…

イザマーレとミカエルはため息を付いていた


「…楽しかったか?あそこまで叩き呑めして…

ダイヤの為にとお前らに任せたが…言い方ってもんがあるだろ?

ミカエルを諦めさせるのは当然の事だ。…だが💢

ダイヤもお前らを好きなのが分からんのか?

お前を慕ってる信者だという事を忘れてはいないか?

確かにミカエルを相手にしていたのは間違っているかもしれん。

だが、要らない感情を結晶にしてダイヤを作り出したなど

言う必要があるのか?その話をリリエルに聞かせられるのか?

別格とは言え片割れだぞ💢

リリエルが笑って聞いてるとは思えないが?

立場は違えど同じ事をリリエルが他の悪魔に言われてみろ!

自分の妻が泣いてる姿を当然と思う事が

お前に出来るのか?イザマーレ💢

周りのLily‘sにも聞かせてみろ💢どう反応示すのか…。

あと…ダイヤを自由にさせてるのは大魔王のこの私の判断だ。

それをとやかく言う事はなかろうが💢」


ダンケルが苛つきながら言った。


自分の妻であるダイヤをここまで打ちのめされた事に

怒りが沸々と沸いてくる




 
 
 

最新記事

すべて表示
校長のサロン

「理栄先生!!本当ですか…!!」 噂を聞きつけたスプネリアとリリア、ムーランの3名が駆けつけると 同じように見に来ていたプルーニャ、ダイヤと出くわす 「あら?早速、いらっしゃったわね♪お疲れ様です♪」 理栄がニコニコと微笑んで出迎える...

 
 
 
魔鏡学園

「イザマーレ、お帰り…っておい」 副理事長室で待ち構えていた守衛ウエスターレンが、一瞬固まる 「…浮気か?」 ニヤッと目を細めるウエスターレン 「ウエスターレン…馬鹿な事を言うな」 言葉とは裏腹に、静かに笑みを浮かべるイザマーレ 「あ、あの…」...

 
 
 
交錯

生徒会室で眼光鋭くモニターチェックしながら 紫煙を燻らせていたウエスターレン 突如、一番手前にあるモニターが光を放ち、画面にノイズが走る すらっとした指先を巧みに動かし、相手からのメッセージを受け取る 「…マジか。了解した。」 軍服を着こみ、すぐさま部屋を後にする …………...

 
 
 

コメント


©2022 by 里好。Wix.com で作成されました。

bottom of page